三つ子と追いかけっこ
2009年9月26日 (土)
大学で教えることのほかに、長い間(もう20年近く)近所の野良猫たちにかかわってきました。私の住んでいる区では、避妊・去勢をして、野良猫たちの命は、最後まで全うさせようよ、ということで、補助金制度もあります。基本的にこの区の野良猫たちは、保健所に持っていかれても『処分される』ということはありません。
さて、ある日のことです。
いつもの場所に、知り合いの、ブチ柄の三つ子兄弟猫がいました。まだ生まれて半年くらいの子猫たちです。猫たちは、かけっこが大好きです。私と競争するのが好きなんです。本当ですよ。
『用意、ドン!』で私が先陣を切ります。そして、最後の3メートルくらいで、猫たちが後ろから全速力で私をぬいて、茂みに彼らが先に到着して彼らが勝つ、という決まりになっています<笑>。猫たちが、勝手に茂みをゴールと決めているので、私はそのルールにしたがって、いつも、わざと負けて猫たちに花をもたせていました。
ところがこの日は違っていたんです。三つ子の兄弟猫の末っ子が、ちょっとよそ見をしていて、一番上のお兄さん猫が、そのことに気をとられてるすきに、私が「間違って」ゴールの茂みに一番先に到着。かけっこで勝ってしまいました。
三つ子の野良猫たちに『バイバイ!』と手を振り、たまには勝つのも気分がいいな、と帰ろうとしていたら、一番上のお兄さん猫が、『どうしても、納得できない!』と、私の後を ついてきました。すると二番目のお兄さん猫も、末っ子猫もついてきました。彼らの縄張りをぬけても、まだついてきます。自分たちが負けるなんて、納得できない、ということのようです。三匹たて一列に。末っ子は最後尾につけてます。
とおりがかりの おじさんが、笑いながら一列で私に続く三匹の子猫たちをみてました。
しょうがない。仕切り直しです。もう一度、いつもの場所に戻りました。『用意、ドン!』私が突然走り出しました。 上のお兄さん猫が、私の横を全速力でかけていきます。二番目のお兄さん猫、そして末っ子猫も続きます。3匹は、あっというまにゴールの茂みに走りこみました。私の完敗でした。
野良猫からでも学ぶことはたくさんあります。兄弟愛もその一つ。それから、弱い者を皆で守って育てていく。これもその一つです。いつも一番小さい猫が一番先に餌を食べさせてもらえるんです。そして上の猫は下の猫の面倒をみて一緒に生きていきます。
遊びもそうです。これも大切な成長していく要素のようです。ルールは自分たちで決める。なかなかクリエイティブです。
そして、彼らから学ぶ最大のこと。。それは私たち人間以外の生き物が、こうして身近で生きていける環境の大切さだと思います。土の香り。一見無駄に見えるような空間。こうしたものが、いろんな生き物が生きていくのには必要なんだ、ということを教えてくれます。学ぶ場所:それは学校のほかにもたくさんあるんだなって思います。
宮崎 析
2009年9月26日 (土)