「実学」って何?
東京工科大学の「基本理念」にも現れている「実学」についてお話しましょう。
日本で最初にこの言葉を唱えたのは福沢諭吉であると言われています。福沢は、「実際に役に立つ学問」と言う単純な意味に誤解されぬように、「実学」の文字の脇に「サウヤンス」とルビをふりました。これは第一には「科学(サイエンス)」のことですが、そこには「虚」ではない学問という意味が込められており、また日常の役に立つ学問、社会で実践される学問、などの意味も含んでいます。
「役に立つことを主眼に置く学問」が実学と見なされることが多く、今日その意味でも流通していますが、福澤は、新しい事物や事柄の表層だけをなぞって実際的な利便だけを追求する学問については、特に語学、工学の勉学における失敗例を挙げながら、こうしたものを軽薄な虚学として退けたのです。
すなわち、「実学とは自然科学のみならず、社会・人文科学をふくめた実証科学のことであり、事物の真の姿は実証的な学問を通じて分かるという意味です。福澤の実学の精神とは、実証科学に基づいて理解される真理を謙虚に学んで、問題を解決しようとする姿勢といえます(清家慶應義塾大学塾長)。」
「自ら問題を見つけ、その問題を説明しうる仮説を作り、その仮説をきちんと検証し、結論を導くということ。そしてその実証された結論に基づいて問題を解決していくこと。これが実学の精神であり、これこそ、今日の大学院生にとりわけ強く求められていることに他なりません(清家慶應義塾大学塾長)。」
東京工科大学コンピュータサイエンス学部における教育も、この「実学の精神」に基づいています。特に、3年生の後期から少人数で行う研究は、「創成課題」「研究課題Ⅰ」「研究課題Ⅱ」と名づけられ、自ら課題を発掘することから始められます。そして自らその課題を解決する方法を考え、実験やプログラミングによって検証します。単なる知識の取得に終わらず、物事の本質や理念や仕組みを理解した上で、知識を体得できるという特徴があり、社会に出てからも大いに役立つ科目といえるでしょう。
CS学部 CH.
2010年6月25日 (金)