ガンダム人気の秘密??!
2010年9月27日 (月)
前回はガンダムと英語について書いたドム子です。今回は最近特に感じていることについて書くことにします。
皆さんは「二項対立」という言葉になじみがありますか?漢字4文字が続くとなんだか難しい響きになりますが、意味は簡単です。2つの異なる概念が対立や矛盾の関係にあることを指しています。例えば、男性と女性、身体と精神、善と悪、理系と文系といったことです。そして、物事を分析する時に、こうした2つの項目を立てて枠組みを作り、物事をとらえていくということも指しています。この「二項対立」というとらえ方は、私たちの生活の中で昔から行なわれてきたことですが、1970年代~1980年代にフランスを中心に、意識して学問の中に取り入れられました。
2つの対立する項目を立てて分析することには、とても明確でわかりやすいという長所がある一方で、単純化しすぎるという短所もあります。例えば、世の中には実際に、簡単に白か黒で決着をつけられないものがたくさんあります。対立するグループには、それぞれのグループが自分たちの考えに基づいた正義があり、それを第三者が善か悪か、正か邪か、そんなに簡単に判断できるものではありません。私たちは、勧善懲悪の話を見聞きすると気分がいいものです。長寿番組『水戸黄門』がこれほど長く続いている理由も、8時45分頃に毎回黄門様の印籠(いんろう)が示されて、100%悪人が懲らしめられるからではないでしょうか。
しかし一方で、私たちは世の中がそんな簡単な状態ではないことを知っています。実際は白と黒の領域よりもグレーゾーンの方が大きいのです。1970年代終わりに『機動戦士ガンダム』が人気を博し、現在でも人気が衰えない理由の1つは、あの物語の中では善と悪という二項対立が否定され、それぞれの登場人物が自分のもつ強さと弱さを見つめ、悩みながら成長していくからではないかと思うのです。
なぜ二項対立の話をしたかというと、近年、自分の興味あることは探求していくけれど、他人の関わることには関心を示さない人、どれか1つの立場をとって残りを簡単に排除しまう人、自分の考えや好み以外を全て否定してしまう人が多いと感じているからです。例えば、理系科目が得意な人が文学や文化芸術に興味を示さなかったり、文系科目が得意な人が自然や宇宙、数学のもつ美しさに興味を示さなかったりします。これはとてももったいないことです。自らが学び、心を豊かにする機会を手放しているわけです。
これから大学で学ぼうとしている皆さん、そして既に大学で学び始めている皆さんには、自分の興味あることを探求する姿勢をもちつつも、偏見をもたず、より多くのことに興味をもち、柔軟な頭と心を養っていただきたいなと思う今日この頃です。
2010年9月27日 (月)