NTT武蔵野R&Dセンター見学 ~北見研究室~
ごぶさたしています。ブログ編集長Mです。
北見研究室では、恒例のNTT武蔵野R&Dセンターの見学が行われました。
先端情報通信技術の現場を体験する、またとない機会となったようです。
コンピュータサイエンス学部では、ICT実学をモットーに、技術の現場を知るための
機会を数多く設けています。
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北見 憲一です。
工学の世界では、最先端の研究成果は勿論、実際に使われてきたシステムに接し、それらを実感して貰う事がとても大事です。
先人が、新技術を取り込みながら、努力を積み重ねることによって、現在のシステムが出来ていることを実感して貰うことも大切です。
また、私の研究室にはネットワークに関心の高い学生が多く入って来て、NTTの関連会社を含め、ネットワーク関連分野に就職していく人も多いので、NTTに導入されてきたネットワーク機器を見聞しておいて貰う事も大事だと考えています。
こういった趣旨から、毎年、北見研究室で卒業課題に取り組んでいる学生の皆さんを、私が長く仕事をしていたNTT武蔵野R&Dセンターの見学に
連れていっています。
今年は、調整が遅れていたのですが、上手い具合に11月17日に見学の予約が取れました。
前日位から寒気が入り込み、ひんやりした空気の中での見学になりましたが、皆の行いが良かった?のか、お天気は快晴で、快適な見学会になりました。
私がNTTを退職する直前に出来あがったR&Dセンターを遠望する所で、一同記念写真を撮りました。
学生の皆さんのリクルートスーツもきまっています。
見学の冒頭にNTTの研究組織の紹介があり、続けて史料館内にあるNTTに導入されたネットワーク機器、これまでNTTで開発されてきたネットワーク機器の見学を始めました。
この史料館は地下1階、地上3階の建物で、技術分野別にこれまで開発されたネットワーク機器が展示されています。
時間が限られているので、毎年、私が背景・経緯や要点のみを紹介ことにしています。
地下の歴史関連の展示は残念ながら割愛して、1階のノード技術のコーナーから見学を始めました。
ここには、最初の自動電話交換機になるステップバイステップ交換機から展示が始まっていて、当時の日本が、米国とドイツの両方の製品を導入して競争させた経緯も話しました。
続けて、クロスバ交換機、アナログ電子交換機、ディジタル交換機と続き、最新型の新ノードシステムまで、NTTが導入してきた各世代の交換機が並んでいます。
私の主に取り組んできた分野なので、説明にも熱が入ります。
写真は、戦後の電話網に大量導入され、その復興を支えた国産クロスバ交換機を説明している所です。
続けて、長距離伝送などを実現するトランスミッション技術の見学です。
我が国で搬送多重伝送に取り組んだ最初のシステムとなる無装荷ケーブル多重伝送システムから始まり、アナログ同軸伝送システム、PCM-24伝送システム、ディジタル同軸伝送システム、ミリ波導波管、光ファイバ伝送システムと歴代のシステムの展示が続きます。
続けて、障害時の伝送路救済のためのMGスイッチャ、海底ケーブルの中継器(写真)や衛星の回路なども見学して、トランスミッション技術の見学を終えました。
続けて、2階に上がり、洞道の模型から始るアクセス系システムと所外インフラ技術のコーナに行きました。
かっては多量に使われていたが雨に弱かった紙絶縁の加入者ケーブルや、戦後、この雨への弱さを改良して信頼度を抜本的に上げたPEFケーブルから始り、同軸ケーブル、光ファイバケーブル等の実物を見て、続いてマンホールの断面模型、小断面シールド工法のエースモール等を見学しました。
あれこれ見たいものはあるのですが時間も無いので、更に3階に移動し、コンピュータとモバイルの広場でパラメトロン計算機や当時のデータ通信サービス提供のために開発されたDIPSシステムの実機などを見て、文字・画像の通信とサービスの技術のコーナーでは、電報送信のために当時使われていた電信機器、テレックス端末、などを見学しました。
モバイルネットワークのコーナーでは、導入当初の自動車のトランクの相当部分を占有するような自動車電話装置から、肩にかけて運べるショルダホンを経て、現在の携帯につながる端末の小型・軽量化の変遷を実感して、見残した項目も多いですが、史料館の一通りの見学を終了しました。
入口に戻りがけ、史料館の説明のボランティアをされているかっての研究者の方のお勧めで、2階のNTT技術のひろがりのコーナーに置かれている、
日本が世界に誇るVAD法の製造設備やこれを用い製造された巨大な光ファイバ母材のコーナーに行って、その説明を聞いて、3時間に渡る見学を終了しました。
武蔵野R&Dセンターに到着した時には、まだ秋の日が燦々と輝いていましたが、秋の日はつるべ落としと言われているとおり、帰る時にはとっぷり暮れていましたが、寒さはそれ程でも無くて安心しました。
これで年内の研究室の行事は無事に終り、後は取り組んでいる卒業課題の仕上げと論文の書き上げに、学生の皆さんは専念することになります。
この見学にあたっては、武蔵野R&Dセンターの広報担当の方々に大変お世話になりましたので、この場でも厚く御礼申し上げさせていただきます。
〔以上〕
2011年12月 4日 (日)
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