学会発表を経験してきました!
三田地研は光エレクトロニクスの研究が盛んです。学会発表できるような卒業論文、修士論文を作成させることをモットーに日々研究活動を行っています。今回は研究室の学生さんが学会発表を経験して如何に成長するか、本人の生々しい体験談に基づいて紹介したいと思います。
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私は修士になってから今日までに電子情報通信学会のオプトエレクトロニクス研究会で2回のポスター発表を行った。修士1年次、修士2年次の共に春に行った。
私は学部時代に一度も外部発表を行っていなかったため、修士1年次に参加したこの研究会が最初の外部発表であった。初めての外部発表ということもあって、申し込みを終えた時から発表を滞りなくすることができるか、質問に対して満足していただけるような回答をかえすことができるかといった考えが頭の中で積み重なっていき、徐々に不安が大きくなった。不安であると、進めなければいけない発表用の資料作りも内容からポスター全体のレイアウトなど至る所が気になり、作業も余り捗らない状態となった。
予稿の提出は期限限界まで内容の修正を何度も繰り返すことになったが、無事提出することができ、2回とも三田地教授には多大な迷惑をかけてしまった。
この研究会は学生同士の交流会という側面を持っている為、発表者は学生のみとなっていて、比較的に他の研究会より緩い内容と聞かされていた。参加者は主に学生、また、研究室の教授、研究会に所属している企業の方々であり、教授からも難しい質問はこないだろうと言われ、事前にその話は聞いていたが、その上でも不安は高まる一方であった。その結果、質問されると思われる内容の回答を幾つも用意したにもかかわらず、準備会場に到達した頃には頭が真っ白になり混乱してしまった。
いよいよ持って発表が始まった。1年目と2年目では発表の形式は違い、10人程度で1グループとし、3つのグループが順番に発表を行うのは同じだったが、1年目は1人3分程のショートプレゼンからの1時間のポスター発表といった形である。私はそのグループ分けの中、3つめのグループであった。1つめのグループの発表は緊張もあって、頭の中に内容が今一つ入らず、こちらから質問することがあまりできずにいた。しかし、2つめとなると流石に緊張も少しは解すことができ、興味を持った研究に話を聞きに行くことができた。
そして、最後である私たちのグループの番なのだが、このグループは幸か不幸か時間の都合上夕食を挟むので、発表までに長めの猶予が与えられていた。私の場合は食事の際は余り喜ばしくない形に作用してしまい、食事の際に緊張を解しすぎて緩みきったといえるような状態に陥ってしまった。夕食を終えてから発表をするまでの時間において、1つめのグループの発表を聞いている時以上に余計に緊張することになってしまった。事前に用意した予稿とスライドについては何度も修正したかいもあって、悪くはないと感じてはいたのだが、緊張により発表の速さが予定よりも早くなりすぎた。発表している最中に内心ではこれでは駄目だと感じることはできるのだが修正することは叶わず、あっという間に発表は終了してしまった。しかし、ショートプレゼンを失敗してしまう事で、ポスター発表時はかえって冷静になることができた。
私の研究は材料系であったのだが、他の参加者の研究は主にデバイスの開発が主だったもので、質問していただいたのは学生よりも企業の方が多くいた。その為、質問されるたびに一段と緊張したのだが、先程のプレゼンの失敗によって少々冷静になることができていたので、内心は不安だらけではあったが言葉はつまることなく、なんとか発表を終えることができた。
完璧に答えきることができた訳ではなく細かいところを聞かれた際に、研究を行ってきた中では考えていなかったことを聞かれることがあり、思考不足に反省する一方で、自身では思い至らない発想を知ることができた。
そして、2年目の研究会のことになる。2回目では、先の通り形式が異なり、ショートプレゼンは無くなり、ポスター発表のみの時間は約1時間30分に変更となった。1回目よりも長い発表時間となったことで、質問されることも多くなった。1回目程ではないが緊張していて、あまり良い状態ではなかった。度胸がつくといった意味では、発表を数回こなした程度では対して変わらないのかもしれない。しかし、前回以上に質問に対して答えることができ、聞かれた質問に対してでは適切に返せたと思っている。これも研究を学部生時に1年、院生時に1年、合わせて2年の期間に携わることで、想像していたよりも成長することができていたということだろう。
この2度の外部発表を経験することで、私は自身の成長を自覚することができた。しかし、これは数回の経験によるものだ。1回目は内容の整理と反省、あるいは新たな発想にたどり着くことのできる貴重な経験として。2回目はその経験を活かして、どう役立てたのかを確認することができた。勿論、2回目以降にも発見や反省は見つかっていくだろう。このように研究を誰かに紹介するという機会はとても大事な経験であった。
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三田地は24年間のNTT研究所での光デバイスの研究開発の後に本学に赴任し、2001年4月から既に12年以上の教員生活となります。この間、「学生は成長するものである」ということを幾たびも実感して参りました。20代の若者は、若いだけに適切にトリガーを与えれば成長します。特に初めての学会発表は本人にとっては想像もできないくらいの舞台です。発表直前は食べ物も喉を通らないくらいに緊張しますが、発表と専門家との質疑応答を無事に終えたときの安堵の顔と、その夜の慰労会での本人の感想、その数日後の驚くべき成長の姿、自信に満ちた振る舞いは教師冥利に尽きるものがあります。そうやって成長した学生が3月下旬に卒業していくときは、実は教師にとっては寂しい季節であり、周囲は桜の開花で浮かれ始める時期なのですが、教師にとってはやや鬱気味の時期でもあります。これをあと4,5回繰り返すと私も卒業の時期を迎えます。
2013年6月17日 (月)