学会デビュー(1)
東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 光エレクトロニクス研究室教授の三田地です。
三田地研では、卒業研究を通じてオリジナリティの高い研究成果を出した4年生には積極的に学会発表を奨励しています。2014年3月の春の応用物理学会には男子学生2名、電子情報通信学会には女子学生2名の4年生が学会デビューを果たしました。今回は学会初舞台シリーズの第一弾として、2014年3月19日、青山学院大学相模原キャンパスでの第61回応用物理学会春季学術講演会で口頭発表を行った男子学生から寄せられた学会デビュー後の感想を紹介いたします。まずは、4年生の野村裕幸君ですが、
「テルライト系ガラスを用いた超高速一括波長変換素子の研究―紫外光ポーリングの検討―」
と題して講演いたしました。無事に発表を行えるか心配な指導者の私はといえば、午前中新潟大学で行われた電子情報通信学会での講演終了後トンボ帰りで新潟新幹線、東海道新幹線を乗り継いで横浜線淵野辺にようやくたどり着きました。タクシーを飛ばして急いで学会会場に飛び込みましたら、ちょうど一つ前の演題の発表が行われているところで、野村君の発表に間一髪間に合って到着という状況でした。いざ始まると発表は堂々たるもので、1年前の4月のころの気の弱い感じの野村君とは全く別人で、指導教員としては大いに満足いたしました。世界で初めて、紫外線レーザを用いてのテルライト系ガラスのポーリングに成功し、二次非線形光学現象である2倍波の発生を確認したという講演です。聴講者の中には企業の研究者と思われる人達がおられて、必至で野村君の説明するパワーポイントの内容をメモしている光景を横からみていると、指導者として小気味の良い感じを覚えました。次のような質問に何とか答えて無事に発表を終えた野村君には安堵感と共に大いなる充実感を見てとることができました。
[主な質問内容]
・他のガラスと比較してテルライトガラスの二次非線形光学定数はどうか?
・擬似位相整合構造の作製方法について
このように学生さんの達成感を共有すると教師冥利に尽きるなあと今年も改めて思った次第です。最後に野村君の感想を以下に紹介して筆を置きます。
[感想]
いざ学会発表が始まると、そのセッションは殆どの発表者の方が学生ではなかったこともあり、逆に緊張せず発表できました。また、この発表の機会に「このことについてどう思いますか」と疑問に思うことを、発表者が発表を聞く方に逆質問していました。お互いに疑問に思うことを自分の意見を交えて討論し、研究を進展させようとする姿勢に感動しました。(三田地注釈:応用物理学会ならではの雰囲気のように思います。)
2014年3月28日 (金)