女子学生向け新入生オリエンテーション
2014年4月25日 (金)
2014年4月25日 (金)
東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 光エレクトロニクス研究室教授の三田地成幸です。
学会初舞台シリーズの第三弾として、2014年3月18日、新潟大学五十嵐キャンパスでの2014年電子情報通信学会総合大会で論文発表を行った女子学生から寄せられた学会デビュー後の感想を紹介いたします。
まず、4年生の「長谷川直生」さんは、
「小型F-SASセンサシステムの小児睡眠時無呼吸症候群診断への適用」
と題して口頭発表を行いました。
この論文は、呼吸による胸郭の変化に伴った側圧変化を、マイクロベンド損失を利用し信号光変化として捉える光ファイバシートを用いた睡眠時無呼吸センサ(F-SASセンサ)を開発し、小児における睡眠時無呼吸症候群診断への適用を検討したものです。本講演では、F-SASセンサの制御部を小型化した「小型F-SASセンサ」を用い、7歳以下の未就学児の睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニングとしての有用性を発表しました。
長谷川さんは山梨大学医学部小児科との臨床研究の担当者として、小児科病棟での小型F-SASセンサ」の測定結果の解析で大いに腕を振るいました。発表開始当初は少し緊張気味でしたが中盤から終盤にかけては流れるようなりっぱな自信たっぷりの講演で、この学生さんにはこういったプレゼンテーションの才能があるのではと思いながら聴き入った次第です。
発表を無事に終えた長谷川さんからは次のような報告がありました。立派な質疑応答ぶりで大いに感心した次第です。通信学会での応答の様子です。
質疑応答内容
(1)従来機と小型機で大きさが変わったのはわかったが、何をしたことで小型化することができたのか。
→基板を1枚でまとめて大きくなっていたのを、2枚にわけ、上下に重ねることで面積を小さくすることが出来た。
(2)解析不可だったものの理由は何か、その対策はないのか。解析不可だったデータを排除するのはもったいない。
→ 解析不可だったデータはSAS2100のパルスオキシメータが外れてしまっていたことが挙げられる。これは指に装着しているもので、寝ている間に邪魔だと思った小児である被験者が勝手に外してしまう、といったことがあるようなので、対策としてはテープで巻いて取れないようにするしかない。F-SASセンサではそのようなことは起きないのでSAS2100のパルスオキシメータと補完し合える。(長谷川)
(3)従来機で測定したものと小型機で測定したもの、解析しているアルゴリズムを統一するなど、何か合わせているところがあるのか。合わせていれば比較としてよりよいものになるのではないか。
→今回はアルゴリズムも異なっている。(従来機は手動パラメータ設定、小型機は自動パラメータ設定を行っている)。ご指摘の点はおっしゃるとおりです。(長谷川)
次は、4年生の「萩原ありさ」さんです。発表テーマは、
「シアンフリー・シラン変性タイプ高耐湿性光学接着剤のシリコンフォトニクスへの適用の可能性」
と題して口頭発表を行いました。
光ネットワークの信頼性維持向上の上で、光デバイス用高耐湿性光学接着剤の開発は重要です。萩原さんらは、「環境やアレルギー等にも配慮したシアンフリーの高耐湿特性を有するシラン変性タイプの光学接着剤(Y-41, Y-42, Y-43, Y-45R)を開発して来ました。高温高湿試験による長期信頼性評価の結果、新規光学接着剤では現行のEPOTEK 353NDよりも高いMedian Time To Failure(劣化に至る時間の中央値、MTF)を有し、良好な偏波保持特性も報告して来ました。
今回の講演は、最近注目されているシリコンフォトニクスへの適用の可能性を探索することを目的に、ガラスとシリコンの被着体間での接着特性を検討したので、その結果を報告するというものでした。
萩原さんは4月23日から25日に富山で開催されるエレクトロニクス実装の国際会議ICEP 2014でも共著発表いたします。また、萩原さんはこの分野でフランスのニース大学との共同研究の担当者でもあります。
普段、静かに話をするお淑やかな感じの女子学生でしたので、講演大丈夫かなと思って聴いていましたが、非常に冷静で淡々と説明し、完璧な講演となりました。マイクロフォン付きの会場だったのも声の小さい萩原さんには大いに幸いしました。終了後に下記の報告と感想が寄せられました。
通信学会での「主な質問内容」です。
1. いろいろな条件で似たような劣化試験を行うのは、何の違いを見ようとしているのか。
2. 新規開発の接着剤のY-41、42、43、45Rは何が違うのか。
3.プレッシャークッカー試験で10hと40hでの相違の理由は何か。
4.剥離強度測定の誤差は結構大きいのか。
といった質問の他に、セッション終了後に5-6人のその分野の専門家が押しかけて、より詳細な質問が浴びせられるほどに大きな反響がありました。
講演を終えての萩原さんの感想は、「卒論発表後の実験でさらに良い実験結果が出たので、不安になることもなく落ち着いて発表できました。」ということで、予想以上に冷静な感想を聞かされ、出来れば引き続き大学院で研究してほしいくらいに大変頼もしく思った次第です。
他大学の発表はほとんどが大学院生の発表で、それに勝るとも劣らない両4年生の発表を聴いて、あらためて東京工科大学コンピュータサイエンス学部の女子力の底力を感じた通信学会でした。
電子情報通信学会での講演を無事に終えて、凱旋モードのCS学部女子学生と、応用物理学会に向かってトンボ返り状態の指導教官とのスリーショット
2014年4月18日 (金)
2014年4月10日 (木)
東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 光エレクトロニクス研究室教授の三田地成幸です。
学会初舞台シリーズの第二弾として、2014年3月19日、青山学院大学相模原キャンパスでの第61回応用物理学会春季学術講演会でポスター発表を行った男子学生から寄せられた学会デビュー後の感想を紹介いたします。
4年生の小島大樹君は、
「バイオミメティック匂いセンサ(BMOS)の屋外使用向け改良」
と題してポスター発表を行いました。
学会初舞台シリーズ第一弾で紹介しましたように、指導者の私は新潟大学からとんぼ返りで野村裕幸君(4年生)の口頭発表が無事終了したのを見とどけるや、ポスター発表会場に駆けつけました。行ってみると、意外にも盛況で結構な人が小島君と長時間議論中で、我々が到着したのも気が付かず必死で質疑応答中というところでした。この論文は、通信において匂いの情報を伝える手段はないものかと始めた基礎研究の成果です。ニンジンの一成分であるβカロチンの有機半導体的な特性を利用するユニークな研究です。固体電解質の特性を有する寒天をホス材料とし、βカロチンをゲスト材料として寒天中に分散させ、白金メッシュと白金版の両電極に挟み込み、屋外でも安定に匂いに応答するように改良しました。βカロチンが日光に当たると劣化するといった問題がありましたが、電極間物質のゲル化とホスト材料によるゲスト材料の囲い込みによりこれらの問題点解決に成功しました。発表を無事に終えた小島君からは次のようなメッセージが寄せられました。応物での質問内容と感想です。
「質問内容」
1.ゼラチン、寒天以外にホスト材料として試したものはあるのか。
2.センサの再現性はどの程度のものなのか。
3.測定対象の判別はどのように行うのか。
4.最終目標として、どこを目指して行っているのか。
「感想」
今回応用物理学会に行って思ったことは、少しでも気になったり興味を持った内容にはとことん吸収していこうとする姿勢や意識の高い人たちの集まりなのだなと改めて思いました。特に、ポスターセッションのため比較的学生が話を聞きに来ることが多く、どの学生も積極的に話を聞いてくれたおかげで非常にやりやすかったです。今回は発表者側でしたが、機会があれば見学者側として見て回りたいと感じました。
このように、学会発表という大舞台を経験した学生は大いに啓発され、その貴重な経験が次の飛躍のバネになりそうな予感がします。
熱心に説明し、質疑応答中の小島君です。 ポスター発表を無事終えた後のホットした様子の小島君です。
(青山学院大学相模原キャンパス 応用物理学会ポスター発表会場)2014.3.19
2014年4月 1日 (火)