学会デビュー(2)
東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 光エレクトロニクス研究室教授の三田地成幸です。
学会初舞台シリーズの第二弾として、2014年3月19日、青山学院大学相模原キャンパスでの第61回応用物理学会春季学術講演会でポスター発表を行った男子学生から寄せられた学会デビュー後の感想を紹介いたします。
4年生の小島大樹君は、
「バイオミメティック匂いセンサ(BMOS)の屋外使用向け改良」
と題してポスター発表を行いました。
学会初舞台シリーズ第一弾で紹介しましたように、指導者の私は新潟大学からとんぼ返りで野村裕幸君(4年生)の口頭発表が無事終了したのを見とどけるや、ポスター発表会場に駆けつけました。行ってみると、意外にも盛況で結構な人が小島君と長時間議論中で、我々が到着したのも気が付かず必死で質疑応答中というところでした。この論文は、通信において匂いの情報を伝える手段はないものかと始めた基礎研究の成果です。ニンジンの一成分であるβカロチンの有機半導体的な特性を利用するユニークな研究です。固体電解質の特性を有する寒天をホス材料とし、βカロチンをゲスト材料として寒天中に分散させ、白金メッシュと白金版の両電極に挟み込み、屋外でも安定に匂いに応答するように改良しました。βカロチンが日光に当たると劣化するといった問題がありましたが、電極間物質のゲル化とホスト材料によるゲスト材料の囲い込みによりこれらの問題点解決に成功しました。発表を無事に終えた小島君からは次のようなメッセージが寄せられました。応物での質問内容と感想です。
「質問内容」
1.ゼラチン、寒天以外にホスト材料として試したものはあるのか。
2.センサの再現性はどの程度のものなのか。
3.測定対象の判別はどのように行うのか。
4.最終目標として、どこを目指して行っているのか。
「感想」
今回応用物理学会に行って思ったことは、少しでも気になったり興味を持った内容にはとことん吸収していこうとする姿勢や意識の高い人たちの集まりなのだなと改めて思いました。特に、ポスターセッションのため比較的学生が話を聞きに来ることが多く、どの学生も積極的に話を聞いてくれたおかげで非常にやりやすかったです。今回は発表者側でしたが、機会があれば見学者側として見て回りたいと感じました。
このように、学会発表という大舞台を経験した学生は大いに啓発され、その貴重な経験が次の飛躍のバネになりそうな予感がします。
熱心に説明し、質疑応答中の小島君です。 ポスター発表を無事終えた後のホットした様子の小島君です。
(青山学院大学相模原キャンパス 応用物理学会ポスター発表会場)2014.3.19
2014年4月 1日 (火)