研究室の研究紹介シリーズ3:光エレクトロニクス研究室(三田地研)
今日は光エレクトロニクス研究室(三田地研)の研究を紹介します.
波長変換デバイス作製の研究をしている山寺くんに研究内容をレポートしてもらいます.
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こんにちは、三田地研究室の山寺雄太です。
私は「非線形光学ガラスによる超高速一括波長変換デバイス作製の研究」を行っています。この研究は、現在のフォトニックネットワークで用いられている波長多重通信を、さらに高速で大容量化する革新的技術に繋がるものです。
一本の光ファイバに対して複数の異なる波長の光信号を同時に乗せる通信情報手段である波長分割多重通信の先には、光ルータと呼ばれる信号の行き先を波長ごとにスイッチする装置があります。この装置の心臓部に波長変換部とよばれる部品があり、この中で電気信号に変換して波長変換を行うと光ルータ全体でのスイッチング速度が遅くなり、高速・大容量化のボトルネックとなっています。
この波長変換を光のままで超高速に行うことで、年々増大する通信トラフィックに対応可能な、光ルータ全体を超高速、大容量通信に適用可能な装置に革新する波長変換デバイスを実現することを目的として活動をしています。
超高速一括波長変換デバイスを出来るだけ低コストで実現するために、加工が容易で通信波長帯で透明な非線形光学ガラス(テルライトガラス)を用いることに着目しました。
研究の全体的な流れとしては、ガラスサンプルの「焼成」、「研磨」、「ポーリング処理」、「第二高調波(SHG)強度の測定」、「二次非線形定数の算出」となっています。
測定に用いるレーザの偏光とガラスサンプルのポーリング処理での配向を揃えることSHG強度が高くなると予想し、今年度では「ポーリング処理」最適化に力を入れています。 前年度、世界で初めて成功した、紫外線レーザによるポーリング処理技術をさらに改良し、ガラスサンプルに横方向の配向を持たせ二次線形強度の測定を行っています。
さらに、今年度から行っているポーリング処理での結果次第ですが、ガラスサンプルをファイバ状に加工し、疑似位相整合構造を持たせることも検討しています。
前年度の先輩は応用物理学会で「テルライト系ガラスを用いた超高速一括波長変換素子の研究-紫外光ポーリングの検討-」と題して、世界初の紫外線レーザによるテルライト系ガラスのポーリングと波長変換の成功を報告しました。私もこれに続いて、横方向の配向による二次線形強度の飛躍的向上を達成し、来年3月の応用物理学会での発表を目指して日々実験を行っています。

9月14日の本学オープンキャンパスの総合ブースで研究成果を展示しますので、是非ご来場下さい。(展示内容の詳細はこちらをご覧ください)
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2014年9月 8日 (月)