ハンダ付けをすると手が震えませんか?
こんにちは。CS学部教員の松下宗一郎です。細かい手作業をする時に、手がどうしても震えてしまうことがあります。例えば、電子回路を手作りする際に欠かせないハンダ付けの作業では、1ミリ以下の正確な位置合わせが必要になりますが、手が細かく震えてしまうためになかなかうまくいきません。そこで、道具の持ち方を変えたり、手の姿勢や動かし方を変えたりすることで、なんとか震えが小さくなるように工夫をすることになりますが、どのやり方が最も良いのかを判断することは簡単ではありませんでした。
そこで研究をはじめたのが、腕時計型のワイヤレスモーションキャプチャーデバイスを使って手の姿勢と震えを同時に測定し、いつどのような状況の時に震えが小さくなっているのかを教えてくれるシステムです。細かな震えをとらえる腕時計型デバイスは既に知られていましたが、これに手の動きをデータ化するためのモーションキャプチャーを組み合わせることで、ビデオカメラを使わなくても作業状況を手軽に分かりやすく表現することができます。そして、約6ヶ月間にわたる研究の成果を学会発表することとなりました。
学会での展示実演では、震えの大きさを線の色で表現することで、例えば目の前に円を描いた時の様子をノートパソコンの画面に表示しました。その結果、体の真正面では手の震えが小さくなることや、ハンダ付けのような精密作業では最後に精密な位置合わせを行う瞬間以外にも、手の震えが大きくなる場所があることが分かりました。
ビデオカメラではとらえ切れない細かな手の震えを分かりやすく数値として記録するシステムは完成しました。普通の腕時計の約半分の重さしかないモーションキャプチャーデバイスは、準備や後片付けが簡単なのはもちろん、長時間使っていてもほとんど気にならないのが特徴です。今後は、更に幅広い分野への応用を考えて行きたいと思います。
それではまた!
Soichiro C. Matsushita (Nintendoスイッチがやって来ました。ストラップが抜けない・・・)
2017年4月 3日 (月)