Vol.2 学生が優秀論文賞と優秀プレゼンテーション賞受賞の快挙!
東京工科大学コンピュータサイエンス学部講師の柴田です。研究室の学生の体験を紹介させていただきたいと思います。
2017年6月に北海道札幌市で開催された情報処理学会のシンポジウム「DICOMO2017」に、研究室に所属するコンピュータサイエンス専攻修士課程1年の阿座上知香さんが、論文執筆、発表を行ない、優秀論文賞と優秀プレゼンテーション賞を受賞しました。著者は、指導教員2名(柴田千尋、宇田隆哉)との連名になっています。
「DICOMO2017」は、ネットワークに関連する多様な研究に取り組む全国の研究者や学生が集まり、研究論文の発表やディスカッションを行う合宿形式の大規模シンポジウムです。
阿座上さんは、これ以前にスイス、チェコ、台湾、イタリアで開催された学会でも、研究論文を発表している意欲と挑戦心ある学生です。これら大舞台での発表で重ねた経験も今回の快挙を支えました。
阿座上さんが受賞した研究論文は、"深層学習に負けないCAPTCHA"の研究に関するものです。CAPTCHAとは、ネットサービスを利用するときなどに、人間と人間になりすましたコンピュータを区別するために用いられるセキュリティ技術です。 たとえば、わざと歪ませた文字や、コンピュータにはわかりにくい画像などを提示して、正しく答えさせることで人間かどうかを判定します。しかし、近年、深層学習という人工知能技術の急速な発達により、従来はコンピュータには読めなかった歪んだ文字や画像が、認識されるようになってきました。そこで、「敵対的ノイズ」とよばれる特殊なノイズを画像に何度も重ねることで、深層学習を使ってCAPTCHAを突破しようとする敵対プログラムに対して耐性のある新しいCAPTCHAを提案しました。こうした技術をCAPTCHAに応用するアイデアは、他の研究に類例を見ないオリジナルなものです。
今回の活動の客観的な感想を得るために、学部のインタビュアーが学生の声を聴きました。
Q.挑戦してみての感想は?
阿座上:以前、スイスの学会での発表に臨んだとき、プレゼン用の資料を入れたパソコンは壊れるわ、英語はうまく話せないわで大失敗しました。今回は日本語でのプレゼンでしたが、しっかりとわかりやすく伝えることができ満足しています。
Q.学部や研究室のサポートは?
阿座上:研究室の先生は、国内外での学会への挑戦を強く推奨してくれ、やる気のある学生には親身に指導してくれます。私が学会にチャレンジできるのも、論文の書き方から、効果的なプレゼンの方法まで、先生自身の経験に基づく実践的なアドバイスがあればこそです。他大学に比べて研究機材面のサポートが充実している点も心強いですね。
Q.これからの目標は?
阿座上:まずは、まだまだ不十分な研究を、追実験などを行って満足いくものに仕上げるのが目標です。その後は就職を予定していますが、深層学習に関する仕事や研究を続けていきたいと考えています。
柴田研究室の基本方針は、学生の自由な意志と発想を尊重することです。そうしないと、自分では何もできない受け身の姿勢が身についてしまいますから。指導教員として、意欲と向上心ある学生が、より高いところまで到達できるよう、ガイド役になって支えてあげようと心がけています。阿座上さんの長所は、どんな大きな舞台、高い目標に対しても、物おじせずに向かっていくこと。他大学の先生も、彼女の学会参加の経歴を知ると驚きますね。皆さんもICTの最先端領域を見つめながら、私たちと一緒に世界をめざしませんか!
【プロフィール】
阿座上知香 CHIKA AZAKAMI
◆所属/コンピュータサイエンス専攻修士課程1年
◆研究室/人工知能・機械学習研究室
◆出身/県立松戸六実高校
柴田千尋講師/人工知能・機械学習研究室
2017年12月15日 (金)