去る3月22日と23日に、2018年の電子情報通信学会総合大会で三田地研から3名の4年生と1名の大学院2年生が発表を行いました。それぞれに有意義な発表だったように思いますので、以下に発表の感想を紹介いたします。
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コンピュータサイエンス学部三田地研究室4年の梁川勝弘君です。
「新規光学接着剤の耐湿信頼性試験」と題して、3月22日に発表を行いました。
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概要ですが、「近年、FTTH(Fiber to the Home)の急激な進展に伴い、屋外の高温多湿環境で高い耐久性を持つ、耐湿信頼性の高い光学接着剤の開発が重要な課題となっています。しかし、現在光コネクタ組立に主に使用されている接着剤EP353NDは長期的な耐湿性に劣るなど様々な問題があります。本研究では、新規開発された高耐湿性光コネクタ用接着剤の長期耐湿信頼性試験において、新たに60℃-85%RH環境下の条件を加え継続しました。その結果、新規光学接着剤Y-14~Y46Rは現用光コネクタ組立用接着剤EP353NDよりも全試験条件において接着寿命が優れており、非常に高い耐湿信頼性を持つことを確認出来ました。」という内容です。
次に学会での質疑応答を紹介します。
Q1:「加速劣化させている各条件での経過時間は、実際の環境で用いた場合どのくらいの経過時間に換算出来るのか」という質問には、
A1:「正確に計算できる訳ではないものの、EP353NDの寿命は25年程度と考えられています。実験結果通りとなるならばその11倍から132倍ということになります。」と答えました。
Q2:「新規光学接着剤Y14~Y-46Rと現用品EP353NDの耐湿信頼性の違いは何によるものか」という質問には、
A2:「新規光学接着剤にはシランカップリング剤が含まれており、接着界面での水素結合を強め、耐湿性、耐久性を高める化学反応を起こすためであります。EP353NDにはこれが含まれておらず、元々水分により水素結合が破壊されやすいため耐湿信頼性が低く、また温度や湿度が高いほど劣化が加速していきます。それに対し、新規光学接着剤はシランカップリング剤により水素結合が強まるため耐湿信頼性が非常に高く、また、この化学反応は温度が高いほど促進されるため、劣化が加速する高温環境においても高い信頼性を維持できます。」と答えました。
感想ですが、学会投稿は初めてだった上、学会についても良く知らなかったので戸惑うことが多かったですが、研究結果のまとめ、資料作製などについて、ご指導頂き、無事に終えることが出来て良かったです。また、研究の過程でWord、Excel、PowerPointなどのツールを用いたことや、横浜ゴム様や学会へのプレゼンテーションを行う経験が出来、得たものも多かったです。
最後に、多大なご指導を頂きました三田地成幸教授、村田則夫様、共同研究させて頂きました横浜ゴム株式会社の木村様、影山様にこの場を借りて感謝申し上げたいと思います。
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続いてコンピュータサイエンス学部三田地研究室4年の大島拓也君です。
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私は2018年3月23日に東京電機大学北千住キャンパスで行われた電子情報通信学会にて発表しました。論文のテーマは「ソーラーパネルを用いた防犯センサの冬の日本海側における発電量」というものです。これは、光ファイバを窓枠に設置して防犯センサとして役立てようという研究です。窓枠に圧力が加わると光ファイバが変形し、中の透過光が変化するのでそれを読み取ることで異常を検知することができます。この防犯センサにソーラーパネルを接続し自立発電による駆動を目指しています。過去の研究では、大学内での測定を行っており都内での自立発電が可能であることがわかっていました。今年度はソーラーパネルによる発電効率が低い日本海側地域での計測を行い、その結果を報告しました。
学会発表をするのは初めての経験でとても緊張しました。学内での卒業論文発表会でもいくつかの質問がありましたが、学会発表では専門知識を持つ人が多く質問への回答が大変でした。ほとんど問題なく答えられましたが、うまく答えられない部分もあったのは今回の反省点でした。今回の発表は慣れない部分もありましたが、最終的には無事に終えることができ良い経験になりました。
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続いて、コンピュータサイエンス学部三田地研究室4年李載炯君です。
「FBGセンサを用いた地震振動検出の高速化(その2)」と題して発表を行いました。
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①「FBGセンサを用いた地震検知機を用いれば、現在の地震検知の技術により役に立つのか?」
という質問に対し、
「現在、地震計測器は陸域だけに設置されており、FBGセンサを使った地震検知を海底に設置すれば、建物に最も影響する卓越周期を検知する事ができるので、海底で起きた地震により素早く検知すると同時に建物にどのくらいの影響が出る地震かを伝達できるので、より正確な地震の情報を伝達できると考えられる」と回答しました。
②「FBGセンサをどうやって海底に設置すれば良いか?海底に設置するための工夫はどのようにすれば良いか」という質問に対し、
「FBGセンサを用いてどこまで短い周期の地震動を検出できるかを研究テーマにしていたため、FBGセンサをどのように海底に設置するかまでは研究をしておらず、お答えできませんが、今後研究で参考にします。」と回答しました。
③「今の地震計測器は電気式が主流と発表していたが、電気式からFBGセンサに変える時にどのような工夫が必要になるのか」という質問に対し、
「電気式からFBGセンサに変える時にどんな工夫が必要なのかまでは把握しておらず、お答えできません」と回答しました。
感想としましては、もう少し研究に関連する地震の計測技術などについての知識を身につけておけば良かったなと考えさせられました。
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続いて、大学院バイオ・情報メディア研究科 三田地研究室修士2年の姜凱元君です。
「FBGセンサを用いた地震検出器の検討」と題して発表を行いました。
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私の発表は光ファイバFBGセンサを用いた地震計への応用に関する研究です。この研究の目的は、FBG光ファイバセンサは電気の代わりに光を利用し、銅線の代わりに光ファイバを使うことで、電気的なセンシングに伴う課題の多くを解決することができます。これらの特徴は陸域・海域を問わず観測網を構築でき、地球深部など高温領域での観測を可能とすると考えられます。前回は加速度の検出について検討しましたが、今回は前回の実験に基づき地震検出器について検討しました
私は外国人のため、日本語で伝えたい内容をうまく伝えられるかどうかについて、とても不安でしたが、三田地先生、富田先生と研究室の皆さんのおかげで、順調に発表を終わらせ
ることができました。
今回の発表を通し、いろいろな優秀な専門家の発表も聞くことができてとても勉強になり、自分の足りないところもわかるようになりました。無事に発表を終えた時には、とても達成感があり、人生にとってもいい経験だと思います。まもなく国に帰るので、今回の学会発表により、私の日本での勉強と生活は円満的に終了しました。
最後になりましたが、私にこのような貴重な機会を与えてくださった、三田地教授、実験講師の富田先生、また研究室の皆様に深くお礼申し上げます。