東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 BLOG

東京工科大学
  • 宇田研 学部生の研究論文

« 2018年3月 | トップページ | 2018年10月 »

2018年4月

2018年4月24日 (火)

宇田研 学部生の研究論文

2018年4月24日 (火)

 最近流行の深層学習(人工知能)を用いた研究で、コンピュータサイエンス学部の学生の論文「分類手法に応じた他者を怒らせる問題発言抽出パターンの特徴に関する分析」が、2018年2月15日発行の情報処理学会論文誌(ジャーナル)59巻2号pp.429-441に掲載されました。

 論文誌(ジャーナル)は、査読のない研究会論文や、採録規準の低い一部の国際会議論文とは一線を画し、専門家の厳密な査読に基づいて採録の判断が行われるものです。本学もそうですが、一般的なほとんどの大学では論文誌(ジャーナル)への論文の掲載が、博士号取得の条件の一つであり、かつ最難関の条件になっていると思います。学部生でもこの規準まで到達できるというのは、本学のコンピュータサイエンス学部ならではの特徴だと思います。

 今回の論文は、筆頭著者である村山大騎君と、指導教員である宇田隆哉講師の共著となっています。論文掲載時、村山君はソフトバンク勤務となっていますが、研究は学部4年次に行いました。
 
 この研究により何ができるようになるか簡単に説明します。
 みなさんもTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用していると思います。そこで発言をする際、十分に注意をしていても「炎上」して非難を浴びてしまうこともあります。セクハラやパワハラにもいえることですが、発言者は「そんなつもりはない」と思っていても、相手が不快に感じる可能性はあり、不特定多数が相手となるSNSではその可能性は高くなります。そんなときに、「あなたが投稿しようとしている内容は、高確率で非難されそうですが本当に投稿しますか?」と自動的に警告してくれたらとても便利だと思います。それができるようになるのがこの研究です。
 
 しくみを説明します。
まず、Twitterで、過去に「炎上」した発言を大量に集めます。
誰かが怒りを感じた投稿(対象は英文のみ)には、#angryや#fuch、#bitchといったハッシュタグが付けられていることが多いのです。また、投稿がリプライ形式になっている場合、その元となる投稿がどれであるか分かります。よって、これらのハッシュタグが付けられている投稿のうち、リプライ形式になっているもののみを自動で収集し、その元となる投稿を未来に「炎上」することとなる投稿のサンプルとして使用しました。
 深層学習を使う際には、正しく分類された大量のデータが必要となりますが、今回の収集方法を考案したのは村山君です。宇田講師は、当初、Twitterの投稿から頑張って手動でデータを集めようとしましたが、村山君が良い方法を思いつきました。IT分野に強い、コンピュータサイエンス学部の学生ならではの発想といえます。
 次に、集めたサンプルを、深層学習を使って学習させて(正確にはその前にコーパスを使って文を分解する処理があります)、それでうまく分類できれば大成功なのですが、世の中はそんなに甘くありません。
 まず、流行の深層学習の中でも特に注目されているCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を使って分類してみました。
 結果は79%(F値)。
 分類結果は「炎上する」または「炎上しない」の二択ですので、当てずっぽうで答えても平均50%は当たります。つまり、微妙な結果ということです。
 次に、統計的な手法であるMNB(Multinomial Naive Bayes)でも試してみました。
結果は76%(F値)。非常に残念です。
 念のため、深層学習が流行する前によく使われていた、機械学習のSVM(Support Vector Machine)でも試してみました。
結果は66%(F値)。絶望的です。
……。
 ここで終わらないのがコンピュータサイエンス学部です。宇田講師は、誤分類された投稿内容をよく調べ、あることに気づきました。ここは一番いいところなので(長くなるので)割愛しておきます。詳しくは論文をご覧ください。
 そして、92%(F値)で“未来”に「炎上」“した”投稿を分類することに成功しました。つまり、この手法を使って、これから投稿しようとしている内容を調べれば、その発言が高確率で「炎上」するかどうか事前にわかることになります。そうすれば、不要ないさかいが防げて、世界が平和になりますよね。
 コンピュータサイエンス学部の研究は、オープンキャンパスで展示されていますので、是非ご来場ください!

2018年4月24日 (火)

2018年4月12日 (木)

岩下研 感性工学会春季大会で修士学生が優秀発表賞受賞&4年生がポスター発表

2018年4月12日 (木)

感性・言語コンピューティング研究室の岩下です.2018年3月27~28日に,名古屋大学で第13回感性工学会春季大会が開催されました.毎年,この大会で研究室の何名かが研究の成果を発表するのが恒例になっています.

 

昨年の大会で,当時修士2年の茂手木君が発表した結果,優秀発表賞を受賞し,今回の大会で表彰されることになりました.発表タイトルは「Word2VecとAIMLを用いた雑談対話システム」です.AIMLという形式で書かれた対話データの中から,Word2Vecという方法を用いてユーザの発話に似たような発話データを探し出し,その応答文を返すという方法です.例えば,ユーザが「海水浴に出かけたいなぁ」といったときに,対話データの中にある似たような発話「海に行きたいですね」を探し出し,その応答文である「いいですね」を出力するといった具合です.

表彰式の様子です.既に就職しているので,有給休暇を取って学会に参加しました!

Kansei_photo1

 

Kansei_photo2


感性工学会の大会ではポスター発表が盛況で,今回も85件の発表がありました.その中のひとりとして,4年生の新井さんが発表しました.タイトルは「感情の色彩印象分析と配色デザインシステムの実装」です.「Plutchikの感情の輪」という,感情と色彩の関係を表した理論においては,基本的な感情に対する色彩しか提唱されていません.また,基本感情についても文化によって感じ方が異なります.新井さんはまず基本感情に対して感じる色をアンケート調査し,それらを組み合わせて複雑な応用感情に対して感じる色彩を調査しました.その結果を使って,Webページのデザインを直感的に行うシステムを開発しました.発表会場はコアタイムを過ぎても人だかりができるほどで,1時間半以上,休むことなく説明し続けていました.

Kansei_photo3

来年もまた,学生と一緒に感性工学会に参加できるのを楽しみにしています!

2018年4月12日 (木)

« 2018年3月 | トップページ | 2018年10月 »

 
  • コンピュータサイエンス学部の情報はこちら
  • 入試情報はこちら
  • 資料請求はこちら(大学案内、募集要項等)
カレンダー
2023年1月
日 月 火 水 木 金 土
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリー

  • CS学部のイベント
  • その他
  • オープンキャンパス情報
  • プロジェクト実習
  • 人工知能
  • 卒業生の活躍
  • 学生の学会発表
  • 学生の就職活動
  • 学生活躍編
  • 戦略的教育プログラム
  • 教員の執筆情報
  • 映像紹介
  • 松下的コンピュータゲームの世界
  • 研究室の研究紹介
  • 研究編
  • 講義紹介

最近の記事

  • カナダで開催されたワークショップで発表しました
  • Cloud Native Dojo と IoT Dojo の活動を紹介します
  • 多摩地域マイクロツーリズムプロジェクトで優秀賞を獲得しました!
  • 12月4日に来場型でプレ入試解答解説講座を開催
  • 11月入試説明会+受験対策講座(来場型)&バーチャルオープンキャンパスのご案内
  • 8月のオープンキャンパスについてお知らせします
  • アイルランドで開催された国際会議で発表しました!
  • 7月17日にオープンキャンパスを開催します
  • 「スマホでグリッド」プロジェクト ~第1話 創世記~
  • 6月12日にオープンキャンパスを開催します
  • 東京工科大学の情報はこちら
RSSを表示する