はじめに
大学院コンピュータサイエンス専攻修士2年の小山智之です.この記事ではCloud Native DojoとIoT Dojoの活動について紹介します.Cloud Native DojoとIoT Dojoは,CS学部の2,3年生を対象としたプログラムです.Cloud Native Dojoはクラウドコンピューティングの分野で新たなソフトウェアの提案や開発を目指して活動しています.IoT Dojoはソフトウェア・ハードウェアのスキルを習得し実績にすることを目標としています.Cloud Native DojoとIoT Dojoは,2022年度前期(2022年5月から2022年9月)に週1,2回で活動を行いました.この活動はコンピュータサイエンス学部の戦略的教育プログラムに指定されています.
CS学部には他にもDojoがあります.その中でもこの2つのDojoの特徴は,どちらも講師は学部4年生や大学院生が担当していることです.他のDojoでは,主に先生方が講師を担当されています.Cloud Native DojoとIoT Dojoはいずれも先輩となる学生がTAを担当し,学生が中心で活動しています.以下の参加学生とTAで取り組みました.
- Cloud Native Dojo
- 参加学生:近藤 悠斗,内野 彰紀,田中 美帆,川端 ももの
- TA:小山 智之(大学院コンピュータサイエンス専攻修士2年)
- IoT Dojo
- 参加学生:五十嵐 蓮,白石 藍丸,寺内 大空,鈴木 雅也,高崎 翔悟
- TA:高木 優希(大学院コンピュータサイエンス専攻修士2年)
Cloud Native Dojoの活動
取り組む領域の選定,課題の設定,ソフトウェアの提案を参加している学生(2年生)とTA(大学院生,学部4年生)で取り組みました.ここではCloud Native Dojoの様子を紹介します.
Cloud Native Dojoでは,サーバの構築や運用の場面で直面する課題を探すことから始めました.課題がどんな場面で起きるのかユースケースシナリオをあわせて設定します.参加している学生は具体的なユースケースや課題の設定で苦労している様子でした.時折,TAから参加している学生へ質問を投げかけながら"どんな場面で,何が課題で,誰が困るのか"を整理していきました.今回はWordPressのインストールのためにコマンドラインでの操作が難しいことを課題としました.
課題を解決するための新たなソフトウェアのアイデアを考え,それをもとに実装を行います.今回は,コマンドラインでの操作が難しいことを解決するために,マウス操作で完結することを目指したWebアプリケーションを提案しました.課題をきちんとできるソフトウェアになるよう提案ソフトウェアについてTAからフィードバックを繰り返し行いました.
実際に提案したソフトウェアの開発では,チームで役割を分担して機能やデザインを作成していきました.Gitでのソースコードの管理方法に困る場面やWebアプリケーションの意図しない挙動に悩まされる場面も見受けられました.チームのメンバー同士での相談やTAからのアドバイスを受けながら,無事にソフトウェアは完成しました.以下は実際に学生が開発したWebアプリケーションのスクリーンショットです.アプリケーションをあらわす船を公開先のポートをあらわす島に近づけることでWordPressのサーバが公開できます.ソースコードはGitHubリポジトリで公開しました.

成果発表
大学コンソーシアム八王子 学生発表会は,八王子市にキャンパスをおく大学や高専に所属する学生が成果を発表できるイベントです.
Cloud Native DojoとIoT Dojoに参加する学生が,活動成果を大学コンソーシアム八王子 学生発表会で発表しました.Cloud Native Dojoからはコンピュータサイエンス学部 2年生 4人が展示発表を行いました.IoT Dojoからはコンピュータサイエンス学部 3年生1人が口頭発表を,コンピュータサイエンス学部 2年生2人が展示発表を行いました.発表タイトルと発表者は以下です.
会場はJR八王子駅から徒歩3分の八王子オクトーレでした.

Cloud Native Dojoの展示発表している様子です.2年生の近藤さんが実際に画面を操作しながら説明していました.

Cloud Native Dojoの展示ブースの様子です.

IoT Dojoの発表では,試着室でのセンサーを使った採寸の誤差削減方法を提案しています.IoT Dojoの口頭発表の様子です.3年生の五十嵐さんがスライドを使い発表しました.

IoT Dojoの展示ブースの様子です.実際に試着室を会場に設置し,来場された方に採寸の誤差削減をデモしていました.

学生の感想・アンケート結果
以下は参加した学生からの感想の抜粋です.ほとんどの学生が,伝えることの難しさやフィードバックをもらうことの大切さをあげていました.
- 八王子コンソーシアムに参加してみて,自分たちの発表を相手に伝える困難さを感じました.相手に伝わっているはずだと感じていたものが実際には伝わっておらず,基本的な事を質問されたりしました.
- 他の大学や専門学校の発表もどれも面白いものばかりで、世の中の様々な問題に対してその人独自のアプローチの仕方で解決を試みるという姿勢は今後の自分の研究テーマ決定の参考にもなり、とても有意義な時間が過ごせました。
- 発表が苦手で緊張したが来た人にアプリの紹介ができた。貴重な経験ができて良かった。
- 今回IoT Dojoの展示発表に参加して、デモの実装を行う上で理由付けの大切さを知ることが出来ました。今回の提案では、クラスタリングを用いたのですが、分類するデータの数を決める際や、更衣室の大きさを決めた理由まで1つ1つの理由を明確に定めることが大切であることを学ぶことが出来ました。
- 違う分野の人の発表や意見から異なる見解を知ることが出来た。
- 学校の授業ではインプットするものが多く、アウトプットすることがあまりなかったがCloud Native Dojoを通して今まで学んできたことをアウトプットすることができた。
以下のグラフは,参加した6人の学生に発表会を通じて向上したスキルを聞いた結果です.このグラフにある6つの観点は東京工科大学の定めるラーニング・アウトカムズ(学修到達目標)と対応しています.コミュニケーション能力と問題解決能力はアンケートに回答した全員の学生が向上したスキルだと回答しています.チームで協力して活動する経験からコミュニケーション能力が向上した要因かと思います.ユースケースや課題の設定,解決策の提案をする過程で問題解決力が培われたのではないかと思います.

おわりに
先日,2021年度後期のCloud Native Dojoに参加した学生と話す機会がありました.その学生は,「Cloud Native Dojoで取り組んだ内容が就職活動の自己PRで役立った」と話していました.こうした技術的な課題を発見し解決する取り組みを主体的に取り組んだ経験は,就職活動でガクチカ(学生時代に最も力を入れたこと)としてアピールできると思います.TA側もDojoの活動を行う意義を改めて感じました.今後もこうした活動を通してやる気のある学生をサポートしていきたいと思います.
Cloud Native DojoおよびIoT Dojoの運営にあたり以下の方々にサポートを頂きました.どちらのDojoもサポートのおかげで無事に終えられました.ありがとうございました.
- Cloud Native Dojo
- 伊藤佳城さん(大学院コンピュータサイエンス専攻修士2年)
- 富田啓太さん(コンピュータサイエンス学部4年)
- IoT Dojo
- 杉本一彦さん(大学院コンピュータサイエンス専攻修士2年)
- 河竹純一さん(大学院コンピュータサイエンス専攻修士1年)
- 梅田拓哉さん(コンピュータサイエンス学部4年)