東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 BLOG

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  • アイルランドで開催された国際会議で発表しました!

研究編

コンピュータサイエンス学部は、学生による様々な学会での発表をはじめ、オープンソースによる学修・研究成果の公開、さらには在学中の起業まで、多彩なチャレンジを体系的にサポートする環境と教育を提供し、意欲ある学生の可能性と能力を伸ばしています。

たとえば最近では、ICT関連の大規模な国際展示会への出展や、オープンソースの世界的会議におけるパネリストとしての登壇など、業界も注目する大舞台で本学学生が活躍しています。 そのほか数多くの学会での表彰や受賞など、視野とフットワークを学外に広げた本学学生の挑戦から、多くの成果が生まれています。

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現代社会を支えるICT関連技術の中でも、今後ますます重要性が高まるAI(人工知能)、医療IoT、セキュリティといった先端分野の研究に積極的に挑戦しています。

たとえばAI関連では、ディープラーニング(深層学習)の技術を用いることで「安全な出産」をサポートする手法の開発研究を推進しています。

また、医療IoT分野では、本学の応用生物学部や医療保健学部と共同で、障がい者向けのパソコン操作補助システムの開発や、医療からスポーツ、楽器演奏まで幅広く活用できる超小型モーションキャプチャーシステムの開発など、実用化が楽しみな多彩な研究が進行中です。

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アイルランドで開催された国際会議で発表しました!

2022年7月14日 (木) 投稿者: CSスタッフ

はじめに

初めまして,クラウド・分散システム研究室の高木優希です.現在,大学院のコンピュータサイエンス専攻2年です.

今年の6/20(月)から6/23(木)に開催されたGIoTS(Global IoT Summit 2022)に参加し,学会発表しました.タイトルは「Accurate indoor positioning based on beacon weighting using RSSI」で,屋内測位の精度改善についての研究発表を行いました.論文はもちろん英語で,修士1年から続けている研究を発展させ,今年3月末頃から執筆を始めました.論文の締め切りは5/10から6/1に伸び,追実験と論文の校正を繰り返す毎日でした...

その甲斐もあってか査読が通り,発表の機会をいただけることになりました.(92件の論文のうち査読を通したのは40件なので運がよかったです)今回はアイルランドのダブリンでIoT Weekと同時開催でしたので,規模も大きくとても貴重な体験でした.コロナの影響もあり,対面での開催は2年ぶりでしたが無事に現地で開催されてよかったです!私はその旅行記と発表の様子を簡単にサマリーさせていただきます!詳しく知りたい方は研究室のブログをどうぞ!

スケジュールについて

  • 6/19(日):日本出国(夕方)
  • 6/20(月):現地着(朝) → GIoTS(IoT Week)1日目
  • 6/21(火):GIoTS(IoT Week)2日目
  • 6/22(水):GIoTS(IoT Week)3日目
  • 6/23(木):IoT Week 4日目
  • 6/24(金):現地発(朝)
  • 6/25(土):日本帰国(昼)

プログラムについて

GIoTS 1日目(12:00 – 20:00)

  • Registration

会場はホテルの目の前にあり,とても簡単に行くことができました.初めてこのような大きな規模のサミットに参加し,周囲も英語だけなのでとても緊張していましたが,無事に登録を済ませることができました.

A B

  • Paper Presentation Track 2

IoTアプリケーションやサービス,実際の実装についての発表がありました.電波の受信状況からデバイスを識別したり,教育現場やドローンといったユースケースがしっかりしたりしているものはとても聞いていて面白かったです.

  • Opening Ceremony

ビットコインの開発者がサトシ・ナカモトじゃない説についてのお話やIoTに関する講演が行われました.興味深いお話が多く,事前知識の重要性を感じました.

  • Reception

1日目の夜ということもあり,簡単なレセプションが行われました.様々な方とお酒や軽食をつまみながらお話をする形式で,自分は先生にくっついて会話を聞いていました(笑).初日ということもあり,この時は英語が全然聞き取れず,緊張もしていてとても苦労しましたが,先生が他の方々と話しているのを見て自分も頑張って話そうと思えました.

C D

GIoTS 2日目(9:00 – 18:30)

  • Paper Presentation Track 4

IoTのセキュリティやプライバシー,データ保護に関する論文発表でした.私たちが日頃使用しているESP32用のカメラとRaspberry Piを用いて安全な画像のデータ保存や転送を行う研究は,データ処理の方法や考え方が興味深かったです.ローデバイスでの研究はやっぱり制限があって面白いです.

  • Paper Presentation Workshop on Internet of Things Security and Privacy

IoTのセキュリティに関する発表がメインのセッションでした.知らない話も多く,とても興味深かったです.

  • 講演
    • Blockchain Food Supply Chain
    • 5G for Connected and Autom. Mobility
    • IPv6-based 5G, IoT, Cloud Computing Industry Session

E F

2日目は講演のセッションが多く,IoT Week側のセッションを見に行き,先生と別行動でお話を聞いていました.少しずつ英語も聞き取れるようになり,メモを取ったり会話もできたりと,少しずつ環境に慣れてきました.

GIoTS 3日目(9:00 – 23:00)

  • Paper Presentation Track 5

IoTのパイロット試験やテストベッド,実験結果に関する研究発表についてのセッションでした.具体的なユースケースが提示され,内容は難しかったですがとてもわかりやすい発表が多かったです.

  • Paper Presentation Track 1+3→自分の発表)

自分の発表は3番目で,待っている間は緊張で何も頭に入って来ませんでした...発表の時はわかりやすくするために入りをなるべく簡単な話にしたり,ジョークを挟んだりと工夫をしました.Overviewやissue,backgroundの話では笑ってくれましたし,和やかな雰囲気で始めることができました.

G H

発表後には,質問が2つとコメントを1ついただきました.片言の英語でしたが,ちゃんと質問を理解して答えられましたし,ありがたいフィードバックをいただけたのでとても貴重な体験となりました.なお,今回発表したスライドはSlideShareで公開しています.

  • Irish Night

I J

GIoTS最終日ということもあり,晩餐会が行われました.アイルランドの伝統的な音楽やタップダンスを見ながら参加者で食事をしていました.自分は東大とデンマーク,スイスの方とお話をしながら楽しみました!

おわりに

今回私が参加したGIoTSやIoT Weekのように海外の現地に行き,英語で話す経験はとても貴重で日本に居ては味わえない面白さや驚きがあります.これまでにもIEEE CCEMでの発表を行っていましたが,コロナの影響でリモートになってしまい,私たちの研究室でも海外に行けたのは自分が初めてでした.海外の発表では徐々に対面が増えて来ているので,チャンスがある人はぜひ頑張ってみてください!新しい発見と成長を得られるはずです!

「スマホでグリッド」プロジェクト ~第1話 創世記~

2022年5月31日 (火) 投稿者: CSスタッフ

はじめまして、CS学部4年の小谷晏経と申します。

今年3月に開催された情報処理学会第84回全国大会にて発表し、学生奨励賞を受賞しました。発表内容は伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)と大学の共同研究プロジェクト「スマホでグリッド」による研究成果です。これは大規模な計算を文字通り多数のスマートフォンで分散して処理するシステムを開発するものです。

なお、「スマホでグリッド」のことを我々の業界では「SDGs (Sumaho De Grid)」と呼びます。ここでsは何かとツッコまないのがお約束です。

このブログではこれから3回にわたり

  • プロジェクトの経緯
  • 研究内容
  • 学会発表

について、共同研究の過程で私の考えたことを織り交ぜながら詳細にお話ししようと思います。今回はプロジェクトの経緯についてです。少しでも共同研究の雰囲気が伝わればと思います。話が積もりますが、どうぞお茶でも飲みながらお付き合いください。

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▲ミーティングの様子

2021年5月 プロジェクト発足

突然ですが、企業では情報漏洩対策などの理由で従業員に作業用のスマホやタブレットを貸与することがあります。大企業ではこれが数千〜数万台にもなります。そのために相応のコストを割くわけですが、実際のところ夜間や休日には使われません。これらをコンピューティングに活用することでIT資産としての利用効率を高められ、ついでに近年需要の増すAI・シミュレーションに必要な大規模計算の効率化にも貢献し、そうした研究に用いられる既存のクラウドコンピューティングサービスよりも安価にでき、それを利用してビジネスにできるのではないかと考えたのがCTC金融ビジネス企画部の植月修さんです。一石二鳥どころか三鳥か四鳥か、凄まじいビジネスセンスです。

一方、多数のスマートフォンで分散処理を行うアイディアは多くの人が考えるものです(たとえばSETI@homeなど)。本学CS学部の石畑宏明教授もその一人で、本学恒例のコラム「大学の学びはこんなに面白い!」でも紹介されていました(ちょうど10年前!)。

ここに目を付けた植月さんが石畑先生に打診し、さらに本学で推進する実学教育の意味も込め、石畑先生が3年次前期の必修科目「キャリア設計I」を通して参加する学生を募集してくださいました。

同時にビジネスにする上ではシステムの実用性を示すことも重要です。そのために大規模計算の例として、CS学部瀬之口潤輔教授が開発する株価予測シミュレーターを使うことになりました。

6月 プロジェクト始動

参加する学生数として当初4人程度を想定していたところ、実際には10人くらい集まったそうです。そこで開発経験と打ち合わせ可能な時間についてアンケートを取り、私を含め6人が選抜されました。いわゆるエントリーシートのようなものですが、実際には「この時間空いてるひと〰!あ、じゃあこの人とこの人ね!」とか言って選定したとかしていないとか。ともあれ全員プログラミング能力も意欲も極めて高い人達です。

CTCでは普段の業務と別にビジネスアイディアを試す社内企画があるそうで、スマホでグリッドはその1つでした。同時期にもう1つ「メンタルキャンバス」という、見ているだけではわからない子どもの心の状態をデータから分析するシステムを作るプロジェクトもありました。そこで選抜された6人のうち4人が前者、2人が後者に参加することになったというわけです。(※スマホでグリッドの1名はその後都合により離脱し、メンタルキャンバスの1名は途中で新しい人と交代しました。)

6月30日、第1回ミーティング(Zoom)をもってキックオフとなりました。

7月~8月 プロジェクト初期

研究の流れとしては、学生が空いている時間に作業を行い、毎週月曜日にメンバーが集まりCTCのSE(システムエンジニア)である佐原潤哉さんを進行役にZoomでミーティングを1時間ほど行います。

学生は実務経験などなく、仕様や実装方法の策定といった上流工程から行うので、初めのうちは進め方が手探り状態でてんやわんやしていました(開発の様々な工程を経験できる意味では非常に良い経験です)。モチベーションは異様に高いので、学生たちが「こんなものありましたよ~!」と口々に情報を持ち込んだり唐突に株価予測プログラムを完全解析したり異様に凝った報告資料を作ったりと、正直工程や作業計画はあまり意識せず暴走していました(それは自分だけ?)。(ちなみにこの凝った資料のおかげで学会発表の画像や内容を考える手間が省けたのはまた別の話。)

フリーダムなようでいて、あるいはフリーダムゆえなのか、7月の終わりにはネットワークを介して分散処理を行うプログラムができ、8月中旬にはウェブアプリとして実装し、ほぼ現在の形が完成しました。

また佐原さんの進行がこれまた非常にうまいのです。次第にミーティングの進め方も定まっていき、順次作業報告→まとめ→次の作業計画という流れが出来上がっていきました。何より、個々の得意分野(AI、ウェブ開発、AWS、プログラミングなど)に合わせてうまいこと学生に均等にタスクを割り当ててくれます。本職のSEの凄さを実感しました。こういったところは卒業研究などにはない共同研究の醍醐味ですね。

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▲異様に凝った報告資料

9月~11月 プレスリリース・改良・テスト

CTCでは10月初めに中間報告があり、そのために簡単なデモンストレーション動画を作りました。また共同研究契約を締結したという旨のプレスリリースが出ました。その後いくつかの新聞社が取り上げていき、規模が増してきたことを感じました(別に何も変わりませんが)。

開発作業としてはバグ修正や改良を加えながら、実用化を見据えて作ったシステムを AWS (Amazon Web Services) のクラウドサービスを使うように移植していました。CS学部では2年次にプロジェクト演習という必修科目の一部で Microsoft Azure を使ってウェブサービスを作るので、結構とっつきやすく感じます。とはいえ、こうしたクラウドサービスにはコンピューティング以外にもデータベースやストレージ、VPC、アカウント管理など様々なサービスがあり、実務ではこれらを連携させるための体系的な理解が必要となります。個人的に非常に苦戦していましたが(今もですが)、プロジェクトメンバーの助けも借りながらタスクを一つ一つ着実に攻略し、経験値が上がっているのを実感しています。

一方でシステムのテストも行いました。並列処理をする以上、その効率は大きなテーマです。システム全体の計算能力を測れば既存のクラウドコンピューティングサービスと比較することで経済価値を試算し、それらと同様にコンピューティングサービスとして提供できます。結果は思っていた以上に良く、スマホの計算能力を活かせていました。達成感を感じる瞬間です。

12月~2022年3月 学会発表

石畑先生から情報処理学会の全国大会を紹介され、申込み締切の延長にも助けられ、発表することにしました。とはいえメンバー3人とも意欲はあるのですが、論文を書いたこともなければ学会に参加したこともありません。当時はこれから何が必要なのか、どんな困難が待っているのか見当もつきませんでしたが、まあいずれ通る道だろうし普通はできないことだろうと考え、また「どうにかなるでしょう」という持ち前(?)の楽観でやっちゃったのでした☆

学会発表の詳しい様子は次次回に預けますが、予稿を書いて発表して、なんやかんやあって学生奨励賞をいただきました。

4月~

最近は商用化に向けてこのシステムをバックグラウンドにしたサービスの開発などを行っています。学会発表時、他の方の発表で野球の戦略提案を行うAIというものがありました。これとスマホでグリッドシステムを組み合わせることで、一般の計算参加者に報酬を還元する仕組みを作れないかというアイディアです。植月さんが提案し、これを具体的に開発する手順や方法を整理したり、プロトタイプを作成したりして現在に至ります。このプロトタイピングは「見た目だけ実際のウェブサイトっぽく動くものを作る」というものですが、まさにCS学部1年次の必修科目「価値創造演習」での経験が活きます。まさしく学部で学んだことの集大成という感じです。

ちなみにこの共同研究、本来は12月末までの契約だったのですが、3月末までに延長された後、さらに5月末までに延びたという経緯があります。まだ延びちゃったりして。戦いはこれからも続く・・・。

おわりに

このような産学連携の共同研究はインターンシップに近いところがあり、就活に有利なのはもちろんですが、研究でもあるので大学院進学を目指す場合も良い経験になると思います。実際、参加メンバー5人のうち2人はCTCに就職、3人は大学院進学の予定です。

うまくいけば学会発表もできて賞も貰えます。そんなに簡単じゃないって?でも考えてみてください。大人数で研究する分卒業研究よりクオリティは高くなると思いませんか?あとはノリと勢いでなんとかするのです。

また、今回のプロジェクトは卒業研究の研究室に配属される前の3年次前期から始まりました。そして参加メンバーは全員、卒業研究配属先は石畑研究室でなければ共通の研究室でもありません。私は並列処理とはだいぶ離れた認知科学系の菊池研究室です(ここでしれっと宣伝を行う)。脳波を計ったりして人間の脳を数理的にモデリングしています。要するに、自分の専門分野でなくても実績を積めるのです。そもそもコンピュータサイエンスはあらゆる分野が深く関わり合っています。並列処理を理解してこそ人工知能の性能を向上させられるし、並列処理にはオペレーティングシステムやネットワークの知識も必要です。さらに脳の神経回路もネットワークの一種であり、この脳の構造が今日の人工知能・深層学習技術の中核になります。専門分野だけでなく周辺の他分野を理解してこそ、我々は真のコンピュータサイエンティストと言えるのではないでしょうか。知りませんけど。

東京工科大学はこうした実学教育に非常に力を入れており、早期に実績を積む機会が多くあります。あと共同研究では(大抵)研究アルバイト代も貰えます💰学生はぜひ積極的に活用しましょう。

・・・と、ここで今回は一旦筆を置かせていただきます。次回は研究内容について(企業秘密に抵触しない範囲で)詳しくお話しします。よろしくお願いします。

情報処理学会 全国大会にて学生奨励賞を受賞しました

2022年5月10日 (火) 投稿者: CSスタッフ

こんにちは、大学院コンピュータサイエンス専攻博士前期(修士)課程を2022年3月に修了した張浩鋭と申します。

この3月に開催されました情報処理学会 第84回全国大会にて発表を行い、学生奨励賞を受賞出来ました。そこで、受賞に至るまでの道のりを簡単にご紹介いたします。

私の研究テーマは趣味でもあるボードゲームに着目し、新しい技術を使って今まだにない斬新なボードゲーム用のインターフェースを開発するというものです。具体的にはボードゲームのコマの代わりとして使用可能なLED PoV回転ディスプレイの設計・試作と評価を行いました。PoVとはPersistence-of-Vision Displayの頭文字で、LEDが高密度に配置されたバーを高速で回転させ、点滅のタイミングや色を制御することによって、何もない空間にあたかも空中に浮いた絵を表示させるディスプレイの一種です。私が初めてPoVを見た時にとても感動し、この技術を使ってボードゲームにイノベーションを起こしたい!と強く思いました。自分の好きなキャラクターをあたかも目の前に立っているかのように3D化してゲームのコマとして使えたら凄く楽しいだろうなと思いました。私の研究ではPoVに無線給電技術を取り入れることで電池不要で軽く、そして自由自在に動かすことが出来るまったく新しい電池レスPoVディスプレイを実現しました。この電池レスPoVディスプレイは制御でよく使われているM5StickCというマイコンを使用し、そこに回転センサやLEDを接続して制御しています。M5StickCには各種センサやWiFi、 Bluetoothとディスプレが内蔵され、それ単体が一種の超小型スマートフォンとも言えるマイコンです。回転センサーの計測値をM5StickCで読み取り、その値をC言語に近いArduino言語で作成したプログラムが読み取ることでLEDの色や点滅の動作を決定し、LEDに制御信号を送っています。

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もちろん研究を進める過程ではさまざまな困難がありました。PoVディスプレイを設計するにあたって、無線給電に起因する超低電力という要件を満たすためにあらゆる部分を小型化、省電力化する必要があります。そこでハードウェア設計にはCAD、そして試作製造には3Dプリンターを用いてゼロから開発を行いました。設計と試作後に動かして要求状況を満たさない部品や機構は都度設計をやり直し、作り直す必要がありました。何度も何度も細かい作業を繰り返し、失敗を乗り越えるたびに成功に一歩ずつ近づいて行きました。困難にぶつかった時には指導教員の服部教授に相談して指導を仰ぐことで、無事に最終設計を完成させることができました。私が設計、開発した電池レスPoVディスプレイは、安定動作と高解像表示の双方を実現しています。この装置のユースケースをデモするため、シンプルで楽しいゲームもデザインしました。

提案している新しいPoVディスプレイのボードゲーム以外の応用可能性を評価するため、2021年10月13日~15日に開催された第4回 医療と介護の総合展メディカルジャパン 東京に参加し、展示と説明を行いました。展示会では共同開発を進めている企業と一緒にPOVディスプレイのデモを行いました。この展示会は医療関連技術を中心にロボット、AI、インターネットサービスなど役立つ多くの技術が展示され、多くのテック系企業が参加、自社開発技術製品を展示していました。展示会には15,000人以上が来場し、私たちの展示ブースでは約150件のプレゼンテーションとデモを行いました。約50名のお客様に新しいPoVディスプレイに興味を持っていただけました。文字表示の特徴について説明、デモを行った後いくつかのコメントやフィードバックを得ることが出来ました。

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見学者からのフィードバックにより、提案したPoVディスプレイはボードゲーム以外にも応用できると考えています。今回の展示会は医療技術に焦点を当てているため、例えばAIボイスのように患者さんや高齢者の方に話しかけながら文字を表示することで医師が患者さんの状態を把握し、心地よい画像を表示することで患者さんの気分を良くし、他の技術製品との関連付けもしやすいのではないかと考えています。また、壁やエントランスにこのPoVディスプレイを設置し、情報を表示することも可能です。その特異な形や特徴から通常のLEDディスプレイよりも注目を集めることができると感じました。この新しいディスプレイを用いてスノードームのようものが出来たらとても楽しいと思います。この技術を発展させて販売可能な商品が出来ればとても嬉しいです。

そして、2022年3月に情報処理学会 第84回全国大会において「Transmissive Spherical Rotating LED POV Display with Wireless Power Supply for Board Games」という題目で無線給電とPoVディスプレイを組み合わせた修士論文に関する研究成果を発表し、学生奨励賞を受賞することが出来ました。

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コロナの関係もあって学会に参加することが初めてでした。当然、発表も初めの経験でしたが研究成果に自信を持っていたことや、英語で発表出来たこともあり、とてもリラックスして臨めました。聴講者や座長には私のPoVディスプレイに強く興味を持っていただき、小型であることや電池レスで高速回転とLEC制御の実現を評価してもらえたことが今回の受賞に繋がっていると思います。発表は英語でしたが、質疑は日本語で答えました。服部教授には質疑応答時にフォローいただき、大変心強かったです。学生奨励賞を受賞できたことは、私の人生において貴重な経験でとても嬉しく思っています。

情報処理学会コンピュータセキュリティ研究会で優秀研究賞を受賞しました

2021年12月18日 (土) 投稿者: CSスタッフ

コンピュータサイエンス学部2020年度卒業の飯野和真です。

2021年3月に開催されました、情報処理学会第92回コンピュータセキュリティ研究会で発表を行い、優秀研究賞を受賞しました。

学部生が学会の研究会発表を行うこと自体珍しいそうですが、コンピュータサイエンス学部では学部生も頻繁に発表を行っており、私も発表しました。

一般的な大学では学部4年次より研究室配属となるのですが、本学のコンピュータサイエンス学部では学部3年次後期から研究室配属されますので、研究成果に磨きをかけることができました。

研究会は、第186回マルチメディア通信と分散処理・第92回コンピュータセキュリティ合同研究発表会という形で開催され、73件の発表がありました。

研究中は困難の連続でした。

当初は、クロス・サイト・スクリプティング(XSS)攻撃を機械学習で検出することを試みたのですが、実際の攻撃に使用されたデータセットが見つかりませんでした。

それでは、他の研究者はデータセットをどうしたのだろうと思い、文献を調べたのですが、どうも彼らのデータセットが不適切であることに気づきました。

このままではXSS攻撃検出の評価が行えませんので焦りました。

そこで発想を変え、なぜ他の研究者のデータセットが不適切であるのか、不適切なデータセットを評価に使うと精度はどうなるのか、どのように評価したら不適切であることがわかるのかを論文にまとめました。

コロナ禍でしたので、発表はZoomによるオンラインで行われましたが、質問者にもお褒めの言葉をいただき、嬉しかったことをよく覚えています。

学生時代に学んだ技術を、今後の仕事にも役立てていきたいと思います。

エレキギター演奏を工学の力でアップデートする「演奏工学」研究

2021年11月15日 (月) 投稿者: CSスタッフ

こんにちは。私は、ギタリストの加茂フミヨシと申します。

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これまで20年間以上音楽業界で仕事をしてきました。特にデジタルコンテンツ分野と、ギター演奏の分野で一貫して活動してまいりました。

現在は東京工科大学と同じキャンパスにある学校法人片柳学園の専門学校、日本工学院八王子専門学校ミュージックカレッジ ミュージックアーティスト科/音響芸術科の専任教員として音楽業界で活躍するアーティストやエンジニアの育成に従事しています。

同時に、社会人の院生として東京工科大学大学院 バイオ・情報メディア研究科 コンピュータサイエンス専攻 博士後期課程で松下宗一郎教授の指導を頂きながら日々研究活動を行っています。

どうして私がそのような活動をしているのか本日はお話させていただきたいと思います。

これまで様々な形で音楽活動をしたり、作品を発表してきましたが、音楽の世界はデジタル技術の到来で大きく姿を変えました。僕がこの世界に入りたいと思った時は、誰しもが「CDデビュー」という言葉を使ってました。今、CDデビューという言葉を使う人はいません。配信なども出てきていますが、音楽の世界は「その次」を模索しなければならない段階に来ていると2018年に確信しました。デジタル技術をベースとした「その次の音楽表現」とは一体何なのか、研究したい気持ちが沸いてきて、現在の仕事・活動は全て継続しながら、休日に大学院に通って研究することにしました。

2019年の4月からデジタルハリウッド大学大学院 デジタルコンテンツ研究科に特待生(特別奨学生)として入学しました。2021年3月、同大学院を首席で修了しDCM(デジタルコンテンツマネジメント)修士号を取得しました。修士課程では、デジタルコンテンツ分野の研究を行いましたが、博士課程に進学し、自分のより深い専門分野である「ギター演奏」を研究したいと考えました。

日本全国の大学院をくまなく探しましたが、エレキギター奏法に関する博士の研究を指導頂ける先生を見つけることができず途方に暮れていたところ、デジタルハリウッド大学大学院の先生が「東京工科大学にギターの有名な先生いるよ!」と教えてくれたのです。え???まさか同じ職場に??と思って、最初は信じられなかったのですが、僕は毎日研究棟Bという建物の11階で仕事をしているんですね。なんと松下宗一郎教授は研究棟Aの建物の11階にいたんですよ!

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10年以上同じキャンパスの中にいたんですよ(笑)信じられませんでした。

面談を受けさせていただいたら、なんと松下先生は僕が執筆した教則本で練習をしてくださっていて、「え、加茂さんって八王子にいるんですか?!」みたいな話になり、一瞬で意気投合しました(笑)

僕としても、松下先生から是非とも学ばせていただきたいことがたくさんあり、2021年4月から松下先生の下で学ばせていただいております。こんな感じで通学しています(笑)

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さて、いったい僕は何を研究しているのか?というと、工学博士の学位を目指しているのですが「演奏工学」という概念を確立していきたいと考えております。

音楽には「暗黙知」が多いとされているんですね。

<暗黙知の例>

  • とにかく練習しましょう(とにかくとは?)
  • スパッと弾きましょう(スパッと?)
  • 脱力しましょう(どのくらい?)
  • 著名な人はこう弾いている(指の長さが違うのですが・・・?)
  • 昔の人は耳コピをしていた(今の人は?)
  • 全身をしなやかに使って(しなやかとは?)

もちろん上記が悪いというわけではないんですけども、実際のところ上記は概念として難しいところもあり、プロでも自分がなぜできているのかということは本当のところはわかっていない領域もあったりするんです。

これらに対してサイエンスの観点から問いを立て、コンピュータの力を使い解決していく。まさに、コンピュータサイエンスと音楽が交錯することで、今まで暗黙知だったことが明らかになる瞬間を松下先生の指導の下、春から何度も体感してきました。

この写真は、毎週金曜日に行われている松下先生の「プロジェクト実習」の様子です。

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僕が考案した「PickFeel」というデバイスを活用して、東京工科大学の大学3年生の皆さんが実験をしながらワイワイギターを弾いて研究をしています。これはSTEAMという新しい学び方なんですね。

エレキギターがうまくなるかもしれない、ってすごいワクワクがあるじゃないですか。そのモチベーションと共に、詳細なデータを研究することで、普通では決して得られない演奏上の秘密を得ることに成功しています。

10月には、初めての国際会議「IEEE GCCE2021」の舞台に登壇し、研究で得た知見を発表いたしました。自分の演奏がリアルタイムで可視化され、即時にフィードバックがもらえるんです!松下先生の超高度なテクノロジー技術と、僕の音楽現場で培った技術が交錯することで生まれた他には無い研究です。

https://www.youtube.com/watch?v=AtamUgbUrGo

同じく、情報処理学会 DPSWSで登壇させていただきました。

https://www.youtube.com/watch?v=nSGkdQ7R7WE

ギターのフルピッキング演奏時に、プロギタリストが「どのような触感を手に感じているか」をレッスン受講者に伝えたいとしても、今まで"それ"をレッスンする方法は存在しませんでした。これも暗黙知ですね。

しかし演奏とは、「どのように弾こうとしているのか?」ということこそが最も大切で、たまたまできた「その感覚」を忘れてしまうことは、上級者さえもしばしばあるものです。

今回発表したデバイスでは、ハプティクス技術を利用し、プロのピッキング時に、弦とピックがどのように衝突しているのか、またその感覚は個人毎に設定を変更して体感ができるようになっています。

失敗した時の感覚も掴めるようになってます。ただ触感だけを感じるのではなく、ビンテージアンプを鳴らした時に得られる高品位な音をモニターできるように作られています。

さらに、「自分で見た自分の右手」でしか得られない目線を、3DCGで再現し、視覚・聴覚・触覚を組み合わせたバーチャルリアリティの世界でギターの最も難しい技術「ピッキング 」の体得を目指したツール、それがこのデバイスです。実際に松下先生の授業で使い、大学生の皆さんの協力を得て一定の成果を挙げることができましたので論文とデモンストレーションにて発表をさせていただきました。

今回、優秀デモンストレーション賞をいただくことができたのですが、これは毎週一緒に研究をしてくれている工科大の大学3年生の皆さんのおかげだと思っています。大学生の皆さんは300分連続の授業なんですけども、毎回物凄い高いモチベーションで授業に臨んでくれていて、博士の研究は大変な部分もありますが、僕も大変勇気をいただいています。

進学先の大学を探しておられる高校生の皆さんには、東京工科大学コンピュータサイエンス学部にはエンタテインメントを研究できる場と、松下宗一郎先生という素晴らしい先生がいることを是非知っていただきたいと思います。松下先生は天才すぎて地球人じゃないような気がしています(笑)

特に音楽やゲーム、アニメが好きな皆さんは、ご自身の好きなことを最先端テクノロジーと掛け合わせてアップデートさせることができる先生が松下先生だと思います!

僕自身の今後の目標としては、アーティストを指導・育成・プロデュースする立場として新時代のデジタル技術を背景としたEdTechとSTEAMを研究した先に「演奏工学」という概念を確立させ博士の学位を取得し、未来の音楽シーンを目指す若者に「NEXT」を伝えられるように頑張っていきたいと思います。

経営情報学会2020年全国研究発表大会に発表・運営参加

2020年11月26日 (木) 投稿者: CSスタッフ

経営情報学会2020年全国研究発表大会が,11月7~8日に開催されました.今回の大会は,東京工科大学での開催を計画し,学部長の竹田先生が大会委員長,森本先生が実行委員長として大会運営を主導されました.他にも細野先生,山口先生,瀬之口先生が委員として運営に協力されました.9月半ばまで大学キャンパスで開催する方向で準備を進めていましたが,新型コロナウィルス感染状況は収まる気配がなくオンライン開催に切り替えられました.

大会では,山口先生が「改善活動継続事例の特徴抽出のための問いかけリストの提案~化粧品製造E社の改善活動件名の事例研究」を事業開発のセッションで口頭発表されました.また,森本研から学部4年吉野真礼君が「グループワークのリーダー立候補に影響を与える要因に関する研究」,細野研から修士1年アシイ・ジャマール君が「AI・IoTを活用したサービスの生産方法の提案」,学部4年安高翔大君が「お薬手帳の電子化促進に向けたデータ信用確保の提案」,河上直暉君が「異種混合API連携プロキシの提案」,立石凌君が「ブロックチェーンを活用した分散型アイデンティティプロトコルの開発」をポスター発表しました.今回のポスター発表は,プレビューセッションと,ポスター発表セッションの2つありました.プレビューでは発表者が順番に2分間ずつ研究概要をプレゼンする形式です.短時間で上手く伝えられるよう事前に録画ファイルを作成し,発表順が回ってきたときにそれを再生するなどの工夫もしてみました.ポスター発表は,Skype Meet Nowを使いました.聴講者がプレビューを聞いて興味を持ったポスターのSkype Meet Nowに参加し,発表者と議論しました.今回参加した工科大の学生は,初めての学会発表であったので,どんな質問が来るのか大変緊張しました.事前に想定問答を用意していたので少し余裕を持って臨むことができました.ただ,ポスター毎の聴講者数をオンラインで一覧できなかったので,聴講者のポスター間移動と集まり具合にばらつきが出たようです.

基調講演では,株式会社オトングラスの島影圭佑さんから「個人的で普遍的な事業づくり、それによって生まれる、しなやかでタフな経済圏」のタイトルでお話頂きました.お父様の失読症をきっかけに文字を代わりに読み上げるメガネ〈OTON GLASS〉を発明された経緯や,弱視者とエンジニアが協働して発明を実践し生まれた知を流通させるプロジェクト〈FabBiotope〉についてお話を伺うことができました.各人が持っている思いを誰か他の人に伝えていくことの意味を考えさせられる講演でした.懇親会では,Zoomのブレイクアウトを使って,少人数のグループに分かれて食事を摂りながら歓談しました.学会の会長・副会長の先生方や他大学の学生と自己紹介してからお話しするのに大変緊張しましたが,新たな交流でとても刺激になりました.

 

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懇親会で全体ポーズ


ジャマール君,河上君,立石君は,学会理事の岩手県立大の後藤裕介先生と東京工科大の先生達とチームを組んで,オンライン運営を取り仕切りました.4つのZoom会議IDを併用し,先生とペアになってZoomを共同ホストしました.ネットワークの状態が不安定な時など不測の事態が起きた時にはDiscordでボイスチャットして善後策を講じ急場を凌ぎました.運営チームは緊張感を持って2日間過ごしましたが,オンラインのみでの大会発表や懇親会を無事に行えたことで「新しい日常」での研究発表のあり方を体得できました.

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コンピュータサイエンス学部の大会委員の先生

大会での発表・聴講・運営を通じて,コンピュータサイエンス学部での研究開発が企業の経営にどのように活かされていくのかを知り,専門家の見方や先進企業の取り組みを学ぶ良い機会となりました.

学部4年生が国際会議で発表

2019年11月 5日 (火) 投稿者: CSスタッフグループ3

東京工科大学コンピュータサイエンス学部4年生の赤石草太君が、IEEE Information Theory Societyが協賛する国際会議Conference on Information Sciences and Systems (CISS) 2019で研究発表しました。

IEEEは、情報処理の世界でACMと並んで有名な巨大な学会です。CISS 2019は2019年3月20日~22日に、米国ボルチモアのJohns Hopkins Universityで開催されました。

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発表会場のHodson Hallに到着した赤石草太君。

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ここで国際会議の受付をします。

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発表する部屋は315番教室でした。発表順は3番目です。

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いよいよ発表です。様々な国から来た聴講者が真剣に発表を聞きます。

発表した論文のタイトルは「Classification of XSS Attacks by Machine Learning with Frequency of Appearance and Co-occurrence」です。Webの世界で問題になっているクロス・サイト・スクリプティング攻撃を、人工知能で有名な機械学習を使って分類するというものです。検出時に特徴となる情報の出現頻度だけではなく、共起度も使っているところに工夫があります。

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CISS 2019では、著名な教授によるPlenary Talk (講演)も行われました。講演の教室は110番です。110番教室がどれくらいの大きさかというと…。

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とても広いホールでした。
講演開始のかなり前ですので、まだ聴講者はそれほど集まっていません。

バージニア大学のMaite Brandt-Pearce教授による、「Visible Light Communications and Positioning」という講演がありました。
Brandt-Pearce教授が“Li-Fi”と名付けた通信のしくみで、Wi-Fiのように動作しますが、光りによる通信ですので病院でも使えます。
しかも、複数箇所からの光りの到達時間差で、GPSの電波が届かない屋内でも位置がわかります。

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講演後の質疑応答では、Brandt-Pearce教授が、壇上ではなく聴講者の席を回って質問に答えてくれました。

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香港中文大学のJohn C.S. Lui教授による、「Sampling Large Networks: Algorithms and Applications」という講演もありました。大規模なSNSなどを評価するアルゴリズムについての解説と実際の評価です。
あるユーザとそのフォロワーがいる場合、両者の趣味が近ければ近いほど良いSNSだと判断するというものでした。講演の最後に、「父親から大金をもらって、2つの音楽SNSのどちらかに投資しろと言われたらどうするか?」という話がありました。Lui教授のアルゴリズムに従って、その2つのSNSを分析すると、片方のSNSのほうがユーザとそのフォロワーが好きな音楽の共通度合いが高いということがわかりました。「投資をするならこっちの会社だよね」というところで講演は終了しました。

CISS 2019では、その他にも興味深い研究発表が多数行われました。会場を少し紹介しておきます。

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会場になったHodson Hallです。

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Johns Hopkins Universityのキャンパスはとても広大です。奥に見える建物は、一般道を挟んでさらに向こう側にあります。

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キャンパスには桜が咲いていました。

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CISS 2019は、Johns Hopkins Universityの主催です。

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会議3日目の午後はプログラムがありませんでしたので、マクヘンリー要塞(Fort McHenry)を見学に行きました。要塞の中心に塁壁(rampart)があり、そこに星条旗がなびいています。
米英戦争の際にマクヘンリー要塞は英国海軍の艦隊による攻撃を受けましたが、守り抜きました。砲撃が止んだ後に、星条旗が塁壁の上に翻っているのを見て、弁護士のフランシス・スコット・キーが詠んだ詩が、現在の米国国歌になりました。
マクヘンリー要塞は国歌誕生の地です。

東京工科大学コンピュータサイエンス学部では、学部生も国際会議で研究発表するなど、活躍しています。

コンピュータサイエンス学部の2年生が学会発表しました

2019年11月 4日 (月) 投稿者: CSスタッフグループ3

情報処理学会コンピュータセキュリティシンポジウム2019(CSS2019)が2019年10月21日(月)~24日(木)にハウステンボスで開催されました。

 

東京工科大学コンピュータサイエンス学部2年の吉田亮雅君が、「スマートフォンの保持位置による本人確認可能なSNSアプリケーション」というタイトルで論文を発表しました。

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吉田君は学部1年のときに、授業の取り組みとして、学内専用SNSのスマートフォン用アプリを開発しました。
その際、SNSのアカウント乗っ取りによる被害が多いことを知り、情報セキュリティのバイオメトリクス技術と機械学習の技術を使って、これを解決できないかと考えたのが始まりました。
学部2年生が学会で発表を行うのはなかなかないと思います。

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会場受付の様子です。とても賑わっています。
参加者は、なんと過去最高の805人だそうです。
情報セキュリティはとても注目が集まっていて、情報処理学会の研究会の中で、コンピュータセキュリティ研究会(CSEC)が会員数でも1位になりました。 

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発表会場のひとつ、A会場です。
椅子の数が多すぎて、こんなところで発表することになったら足がすくみます。
東京工科大学からは、宇田隆哉講師がこの会場で発表していました。

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吉田亮雅君の発表は、C会場でした。

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発表の様子です。C会場もかなり多くの人が聴講しています。

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初めての発表でしたが、順調に進みました。
論文を執筆した時点ではうまくいかなかった点も、発表時までに大幅に改善し、補足して発表しました。
SNSの投稿時に、スマートフォンの持ち方で個人を識別し、なりすましている確率を受信者が見られるというものです。

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質疑応答も盛り上がりました。
発表時間15分に対して、質疑応答時間が5分ありますので、うまくいかなかった原因や改善点に関して、質問やアドバイスがたくさんもらえました。

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CSS 2019では基調講演も行われました。
ひとり目は、アップル、マクドナルド、ベネッセで20年間社長・会長、ソニーで社外取締役などを歴任した原田泳幸氏、ふたり目は、我が国の情報セキュリティ会の重鎮である村山優子先生が講演者でした。

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授賞式の様子です。
東京工科大学は残念ながら受賞できませんでしたが、大学や企業からすばらしい研究成果が数多く発表される中、受賞された研究にはとても注目が集まっていました。

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CSS 2019は、ハウステンボス内の会場で開催されました。
4日間の開催で、4日目は正午過ぎにシンポジウムが終了しますので、帰りのバスまでの時間にハウステンボスを少し見学しようと思ったのですが、土砂降りになりました。
この写真は、シンポジウムの会場になっていた建物の最上階から撮影したものです。

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シンポジウム開催中の他の日は、このような感じに良い天気でした。
会場内でずっと発表を聞いていましたが。

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シンポジウムは午前9時半からセッションが開始されるのですが、ハウステンボスの開園が午前9時のため、開園前のゲートは長蛇の列になっていました。おそらくほとんどの人がCSS 2019の参加者です。

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ハウステンボスにあった「変なカフェ」です。
ロボットがコーヒーを淹れてくれるのですが、本当に数年後にはこうなっていそうな近未来感がありました。

大阪で開催されたシーフードショーに出展しました!

2019年3月 6日 (水) 投稿者: CSスタッフグループ3

2019年2月20,21日の2日間,シーフードショー大阪が開催されました.石畑研究室の学部生2名の協力で,「人工知能を用いた鮭の雌雄判別」の展示を行いました.鮭のオスとメスの判別は,熟練の漁師さん達が頭と尾の部分の形を見て判別します.これを人工知能に行わせるものです.この研究は,コンピュータサイエンス学部と応用生物学部との共同研究です.

展示では,研究内容のポスターに加え,ノートパソコンを用いた鮭のオスとメス判別のデモンストレーションを行いました.ノートパソコンのカメラに鮭の画像を映すと,人工知能がオスメスの判別を行い,画面上に結果を表示するものです.

会場はとても広く自分達が展示するブースは会場の端の方にあり、来てもらえるか不安でした。出典の当日は沢山の来賓の方々見え、本校のブースにも興味を示してくれた方が多く見えました。来られた方に判別を行わせるシステムを使って見せると、とても興味を持ってもらえました。

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また説明の合間に他のブースを見て回ったりしました。会場の中心は食品関係を扱っており、シーフード以外にも色々な食品があり試食したところとても美味しかったです。

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コンピュータサイエンス学部の学生とコンピュータサイエンス専攻の大学院生が国際会議で発表

2019年2月 6日 (水) 投稿者: CSスタッフグループ3

国際会議The 13th International Conference on Ubiquitous Information Management and Communication (IMCOM 2019)がタイのプーケットで2019年1月4~6日に開催され、
東京工科大学の学生も発表を行いました。
コンピュータサイエンス学部から学部4年生が2名、コンピュータサイエンス専攻から大学院生2名が発表しています。
IMCOMは、主にアジアの大学や研究機関が参加する会議で、主催は韓国のSungkyunkwan University(成均館大学校)とUniversiti Kuala Lumpur(クアラルンプール大学)です。
日本からは、慶應義塾大学、名古屋大学、九州大学、お茶の水女子大学などが発表を行っていました。もちろん、東京工科大学も発表しました。
会場は、Novotel Phuket Resort Patong Beachでした。パトンビーチの前に建つ大きなホテルです。
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会場になっているノボテルには、国際会議の会場であることを示す「IMCOM 2019」という表示があちらこちらにありました。
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表示には、馬のマークに「Springer」と書かれていますが、IMCOM 2019の論文は、学術、教育の分野で世界的に有名なドイツの出版社であるシュプリンガーから出版されます。
東京工科大学の学生の論文も、すべてシュプリンガーの論文になります。
初日は午前9時からセッションが始まりますので、午前8時頃にはレジストレーション(受付)が開始されます。
レジストレーションの様子です。参加登録者の名札がアルファベット順に分けられていて、速やかにレジストレーションが行われました。
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午前9時に始まるセッションのタイムテーブルも張ってありました。
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会場の外には大きな横断幕もありました。
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発表会場は2部屋あり、メインのOral Presentation(口頭発表)が行われる大きな部屋と、半分くらいの大きさの部屋がありました。
まず、Siam Aという部屋を使った小さな発表会場から紹介します。
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小さい部屋とは言え、それなりの人数が聴講可能でとても立派な会場です。セッション開始前でしたので準備中でした。
ここで発表するのかと思うと、とても緊張します。
次に、Siam BとSiam Cという2つの部屋を合体させた大きな発表会場を紹介します。
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ここで発表するのかと思うと、緊張で手が震えるほどの立派さです。
大学の教室で行う、学内の発表会とは雰囲気がまったく違います。
発表の冒頭には、Session Chair(座長)からセッションの紹介と発表者の紹介があります。
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会議のOpening Remarks(開会式)です。
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まだ、開始前ですので会場に人はまばらです。
冒頭は、この会議を支えているSungkyunkwan UniversityのHyunseung Choo(秋顯丞)教授の挨拶です。
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続いて、会議のGeneral Chairである2名から挨拶がありました。
Sungkyunkwan UniversityのSukhan Lee教授とUniversiti Kuala LumpurのRoslan Ismail教授です。
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慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスから清木康教授の講演もありました。
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Vietnam National University(ベトナム国立大学)の講演もありました。Minh-Triet Tran博士による、日々の行動記録に関する話です。
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東京工科大学の学生も発表を行いました。
コンピュータサイエンス専攻修士課程2年の白石将貴君がDetection of Suspicisous Person with Kinect by Action Coodinateというタイトルで発表を行いました。
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白石君の研究は、ピッキングをしている不審者をKinectを使って見分けるというものです。
普通に鍵を開ける動作とピッキングという、ほとんど動きに違いがない行動を、畳み込みニューラルネットワークを使った深層学習によって分類しています。
コンピュータサイエンス学部4年の保科琴音さんは、Evaluation of Security and Usability of Individual Identification Using Image Preferenceという研究発表を行いました。
パスワードよりも簡単に覚えられる画像を使って本人確認を行うしくみのひとつですが、そこに利用者の好みを組み合わせることで、覚えやすく破られにくい方法を提案しています。
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コンピュータサイエンス専攻修士課程1年の古屋俊貴君は、Personal Identification by Human Motion Using Smartphoneという発表を行いました。
古屋君の研究では、スマートフォンをペンの代わりにし、大きく腕を動かして空中に図形を描きます。
それを畳み込みニューラルネットワークを使って分類することで、同じ図形を描いても個人を区別できるというものです。
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ポスター発表はこのような感じで行われました。
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聴講者は、発表時間内であれば興味のあるポスターの説明を聞いたり、発表者に自由に質問したりできます。
人気のポスターには非常に多くの人が集まっていました。
コンピュータサイエンス学部4年の鈴木友哉君は、Classifying License Plate Numerals Using CNNというポスター発表を行いました。
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使って自動車のナンバープレートを識別する研究です。
人工知能に用いられている深層学習の驚くべき点は、人間が読めないような非常に解像度の低い数字を、人工知能はほぼ100%の精度で識別できることです。
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発表時間中は非常に多くの聴講者が集まり、長時間質問をしていました。もちろん、質問も回答もすべて英語です。
マレーシアの研究者から、ナンバープレートのフォントについての質問があり、日本ではナンバープレートのフォントは1種類しかないと答えたところ、マレーシアでは多くのフォントが使われていると驚いていました。
国際会議に参加する魅力のひとつに、著名な研究者によるKeynote Speech(基調講演)があります。
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アメリカのNew Jersey Institute of Technology(ニュージャージー工科大学)から来たFranc Biocca博士の基調講演は興味深いものでした。
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Mobile Augumented Realityに関する話で、仮想現実の最先端について様々な技術の紹介がありました。
講演の冒頭から、スクリーンの背景がすでに仮想現実になっていました。
研究レベルでは驚愕の世界が実現していて、早く一般生活にも取り入れられることが期待されます。
Coffee Break(休憩)の様子です。
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参加者はコーヒーを飲んだりフルーツを食べたりしながら、他の研究者と歓談します。
海外の有名な研究者と名刺交換をして知り合いになる絶好の機会です。
会議初日の夜には、Welcome Receptionがありました。
国際会議では、このような催しを通してその土地の文化や伝統を学びます。
また、この催しの中で海外の研究者と交流する機会も生まれます。
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会議2日目の夜にはConference Banquet(晩餐会)が開かれました。
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ここでは、Best Paper Award(最優秀論文賞)の発表や、功労賞の授賞式などが行われました。
プーケットから帰国する際、プーケット国際空港の通路から海に沈む夕日が見えました。
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東京工科大学では、コンピュータサイエンス専攻の大学院生だけでなくコンピュータサイエンス学部の学部生も国際会議で発表を行っています。
論文の執筆も発表もすべて英語です。もちろん他国の研究者との交流もすべて英語になります。
コンピュータサイエンス学部は世界で活躍できる学生を育てています。

宇田研 学部生の研究論文

2018年4月24日 (火) 投稿者: CSスタッフグループ3

 最近流行の深層学習(人工知能)を用いた研究で、コンピュータサイエンス学部の学生の論文「分類手法に応じた他者を怒らせる問題発言抽出パターンの特徴に関する分析」が、2018年2月15日発行の情報処理学会論文誌(ジャーナル)59巻2号pp.429-441に掲載されました。

 論文誌(ジャーナル)は、査読のない研究会論文や、採録規準の低い一部の国際会議論文とは一線を画し、専門家の厳密な査読に基づいて採録の判断が行われるものです。本学もそうですが、一般的なほとんどの大学では論文誌(ジャーナル)への論文の掲載が、博士号取得の条件の一つであり、かつ最難関の条件になっていると思います。学部生でもこの規準まで到達できるというのは、本学のコンピュータサイエンス学部ならではの特徴だと思います。

 今回の論文は、筆頭著者である村山大騎君と、指導教員である宇田隆哉講師の共著となっています。論文掲載時、村山君はソフトバンク勤務となっていますが、研究は学部4年次に行いました。
 
 この研究により何ができるようになるか簡単に説明します。
 みなさんもTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用していると思います。そこで発言をする際、十分に注意をしていても「炎上」して非難を浴びてしまうこともあります。セクハラやパワハラにもいえることですが、発言者は「そんなつもりはない」と思っていても、相手が不快に感じる可能性はあり、不特定多数が相手となるSNSではその可能性は高くなります。そんなときに、「あなたが投稿しようとしている内容は、高確率で非難されそうですが本当に投稿しますか?」と自動的に警告してくれたらとても便利だと思います。それができるようになるのがこの研究です。
 
 しくみを説明します。
まず、Twitterで、過去に「炎上」した発言を大量に集めます。
誰かが怒りを感じた投稿(対象は英文のみ)には、#angryや#fuch、#bitchといったハッシュタグが付けられていることが多いのです。また、投稿がリプライ形式になっている場合、その元となる投稿がどれであるか分かります。よって、これらのハッシュタグが付けられている投稿のうち、リプライ形式になっているもののみを自動で収集し、その元となる投稿を未来に「炎上」することとなる投稿のサンプルとして使用しました。
 深層学習を使う際には、正しく分類された大量のデータが必要となりますが、今回の収集方法を考案したのは村山君です。宇田講師は、当初、Twitterの投稿から頑張って手動でデータを集めようとしましたが、村山君が良い方法を思いつきました。IT分野に強い、コンピュータサイエンス学部の学生ならではの発想といえます。
 次に、集めたサンプルを、深層学習を使って学習させて(正確にはその前にコーパスを使って文を分解する処理があります)、それでうまく分類できれば大成功なのですが、世の中はそんなに甘くありません。
 まず、流行の深層学習の中でも特に注目されているCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を使って分類してみました。
 結果は79%(F値)。
 分類結果は「炎上する」または「炎上しない」の二択ですので、当てずっぽうで答えても平均50%は当たります。つまり、微妙な結果ということです。
 次に、統計的な手法であるMNB(Multinomial Naive Bayes)でも試してみました。
結果は76%(F値)。非常に残念です。
 念のため、深層学習が流行する前によく使われていた、機械学習のSVM(Support Vector Machine)でも試してみました。
結果は66%(F値)。絶望的です。
……。
 ここで終わらないのがコンピュータサイエンス学部です。宇田講師は、誤分類された投稿内容をよく調べ、あることに気づきました。ここは一番いいところなので(長くなるので)割愛しておきます。詳しくは論文をご覧ください。
 そして、92%(F値)で“未来”に「炎上」“した”投稿を分類することに成功しました。つまり、この手法を使って、これから投稿しようとしている内容を調べれば、その発言が高確率で「炎上」するかどうか事前にわかることになります。そうすれば、不要ないさかいが防げて、世界が平和になりますよね。
 コンピュータサイエンス学部の研究は、オープンキャンパスで展示されていますので、是非ご来場ください!

岩下研 感性工学会春季大会で修士学生が優秀発表賞受賞&4年生がポスター発表

2018年4月12日 (木) 投稿者: CSスタッフグループ3

感性・言語コンピューティング研究室の岩下です.2018年3月27~28日に,名古屋大学で第13回感性工学会春季大会が開催されました.毎年,この大会で研究室の何名かが研究の成果を発表するのが恒例になっています.

 

昨年の大会で,当時修士2年の茂手木君が発表した結果,優秀発表賞を受賞し,今回の大会で表彰されることになりました.発表タイトルは「Word2VecとAIMLを用いた雑談対話システム」です.AIMLという形式で書かれた対話データの中から,Word2Vecという方法を用いてユーザの発話に似たような発話データを探し出し,その応答文を返すという方法です.例えば,ユーザが「海水浴に出かけたいなぁ」といったときに,対話データの中にある似たような発話「海に行きたいですね」を探し出し,その応答文である「いいですね」を出力するといった具合です.

表彰式の様子です.既に就職しているので,有給休暇を取って学会に参加しました!

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感性工学会の大会ではポスター発表が盛況で,今回も85件の発表がありました.その中のひとりとして,4年生の新井さんが発表しました.タイトルは「感情の色彩印象分析と配色デザインシステムの実装」です.「Plutchikの感情の輪」という,感情と色彩の関係を表した理論においては,基本的な感情に対する色彩しか提唱されていません.また,基本感情についても文化によって感じ方が異なります.新井さんはまず基本感情に対して感じる色をアンケート調査し,それらを組み合わせて複雑な応用感情に対して感じる色彩を調査しました.その結果を使って,Webページのデザインを直感的に行うシステムを開発しました.発表会場はコアタイムを過ぎても人だかりができるほどで,1時間半以上,休むことなく説明し続けていました.

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来年もまた,学生と一緒に感性工学会に参加できるのを楽しみにしています!

渡辺研 創価大・電気通信大と交流会を実施(3月)

2018年3月30日 (金) 投稿者: CSスタッフグループ3

 無線システム研究室の渡辺です。当研究室では、今年度は学部4年生による15件の学会発表を行いました。昨年度は18件であり、今年度もほぼ同様の活動状況です。学会発表を通じて他大学との意見交換が盛り上がり、より詳細に打ち合わせようと話が進みました。そこで、研究室どうしの交流会を実施し、より広い範囲の技術の交換やより深い技術の探求と、今後の展望について意見交換を行いました。また、互いに学生らによる研究紹介とこれから発表する学生へのアドバイス等も行いました。

創価大学理工学部寺島先生とは、比較的レイヤの高い分野から物理層や中間層にかけてレイヤを横断する統合的な研究を進めています、詳細は発表するまで秘密です。互いに異なる分野での視点から新たな知見を生み出します。

 電気通信大学情報理工学研究科石橋先生とは、共通のテーマである医療IoT(Internet of Things)として24GHz帯レーダを用いた呼吸や心拍等のバイタルセンシングについて、より深く探求しアプリレベルまで構築する研究を進めています、こちらも詳細は発表するまで秘密です。共同で実験や検討会を行い新たな知見を生み出します。

 このように、例えば学会活動を通じて外の世界へ飛び出しましょう、大学の中でじっとしているよりも、自分の世界が広がっていきます。何もしなければ何も起きませんが、何か新しいことを生み出す時は大変なことも有りますが、得られる成果も大きなものとなります。今まで学会発表を行った学生全員が新たな知見と大きな感動を得ています。

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吉村拓也君(渡辺研)の研究紹介@創価大


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創価大寺島先生の研究室テーマ紹介@創価大


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参加メンバ(寺島研と渡辺研)@創価大


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参加メンバ(石橋研と渡辺研)@電気通信大

三田地研 院2年生・学部4年生が電子情報通信学会総合大会で発表

2018年3月29日 (木) 投稿者: CSスタッフグループ3

去る3月22日と23日に、2018年の電子情報通信学会総合大会で三田地研から3名の4年生と1名の大学院2年生が発表を行いました。それぞれに有意義な発表だったように思いますので、以下に発表の感想を紹介いたします。

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コンピュータサイエンス学部三田地研究室4年の梁川勝弘君です。

「新規光学接着剤の耐湿信頼性試験」と題して、3月22日に発表を行いました。

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概要ですが、「近年、FTTH(Fiber to the Home)の急激な進展に伴い、屋外の高温多湿環境で高い耐久性を持つ、耐湿信頼性の高い光学接着剤の開発が重要な課題となっています。しかし、現在光コネクタ組立に主に使用されている接着剤EP353NDは長期的な耐湿性に劣るなど様々な問題があります。本研究では、新規開発された高耐湿性光コネクタ用接着剤の長期耐湿信頼性試験において、新たに60℃-85%RH環境下の条件を加え継続しました。その結果、新規光学接着剤Y-14~Y46Rは現用光コネクタ組立用接着剤EP353NDよりも全試験条件において接着寿命が優れており、非常に高い耐湿信頼性を持つことを確認出来ました。」という内容です。

次に学会での質疑応答を紹介します。

Q1:「加速劣化させている各条件での経過時間は、実際の環境で用いた場合どのくらいの経過時間に換算出来るのか」という質問には、

A1:「正確に計算できる訳ではないものの、EP353NDの寿命は25年程度と考えられています。実験結果通りとなるならばその11倍から132倍ということになります。」と答えました。

Q2:「新規光学接着剤Y14~Y-46Rと現用品EP353NDの耐湿信頼性の違いは何によるものか」という質問には、

A2:「新規光学接着剤にはシランカップリング剤が含まれており、接着界面での水素結合を強め、耐湿性、耐久性を高める化学反応を起こすためであります。EP353NDにはこれが含まれておらず、元々水分により水素結合が破壊されやすいため耐湿信頼性が低く、また温度や湿度が高いほど劣化が加速していきます。それに対し、新規光学接着剤はシランカップリング剤により水素結合が強まるため耐湿信頼性が非常に高く、また、この化学反応は温度が高いほど促進されるため、劣化が加速する高温環境においても高い信頼性を維持できます。」と答えました。

感想ですが、学会投稿は初めてだった上、学会についても良く知らなかったので戸惑うことが多かったですが、研究結果のまとめ、資料作製などについて、ご指導頂き、無事に終えることが出来て良かったです。また、研究の過程でWord、Excel、PowerPointなどのツールを用いたことや、横浜ゴム様や学会へのプレゼンテーションを行う経験が出来、得たものも多かったです。

最後に、多大なご指導を頂きました三田地成幸教授、村田則夫様、共同研究させて頂きました横浜ゴム株式会社の木村様、影山様にこの場を借りて感謝申し上げたいと思います。

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続いてコンピュータサイエンス学部三田地研究室4年の大島拓也君です。

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 私は2018年3月23日に東京電機大学北千住キャンパスで行われた電子情報通信学会にて発表しました。論文のテーマは「ソーラーパネルを用いた防犯センサの冬の日本海側における発電量」というものです。これは、光ファイバを窓枠に設置して防犯センサとして役立てようという研究です。窓枠に圧力が加わると光ファイバが変形し、中の透過光が変化するのでそれを読み取ることで異常を検知することができます。この防犯センサにソーラーパネルを接続し自立発電による駆動を目指しています。過去の研究では、大学内での測定を行っており都内での自立発電が可能であることがわかっていました。今年度はソーラーパネルによる発電効率が低い日本海側地域での計測を行い、その結果を報告しました。

 学会発表をするのは初めての経験でとても緊張しました。学内での卒業論文発表会でもいくつかの質問がありましたが、学会発表では専門知識を持つ人が多く質問への回答が大変でした。ほとんど問題なく答えられましたが、うまく答えられない部分もあったのは今回の反省点でした。今回の発表は慣れない部分もありましたが、最終的には無事に終えることができ良い経験になりました。

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続いて、コンピュータサイエンス学部三田地研究室4年李載炯君です。

「FBGセンサを用いた地震振動検出の高速化(その2)」と題して発表を行いました。

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①「FBGセンサを用いた地震検知機を用いれば、現在の地震検知の技術により役に立つのか?」 という質問に対し、

「現在、地震計測器は陸域だけに設置されており、FBGセンサを使った地震検知を海底に設置すれば、建物に最も影響する卓越周期を検知する事ができるので、海底で起きた地震により素早く検知すると同時に建物にどのくらいの影響が出る地震かを伝達できるので、より正確な地震の情報を伝達できると考えられる」と回答しました。

②「FBGセンサをどうやって海底に設置すれば良いか?海底に設置するための工夫はどのようにすれば良いか」という質問に対し、

「FBGセンサを用いてどこまで短い周期の地震動を検出できるかを研究テーマにしていたため、FBGセンサをどのように海底に設置するかまでは研究をしておらず、お答えできませんが、今後研究で参考にします。」と回答しました。

③「今の地震計測器は電気式が主流と発表していたが、電気式からFBGセンサに変える時にどのような工夫が必要になるのか」という質問に対し、

「電気式からFBGセンサに変える時にどんな工夫が必要なのかまでは把握しておらず、お答えできません」と回答しました。

感想としましては、もう少し研究に関連する地震の計測技術などについての知識を身につけておけば良かったなと考えさせられました。

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続いて、大学院バイオ・情報メディア研究科 三田地研究室修士2年の姜凱元君です。

「FBGセンサを用いた地震検出器の検討」と題して発表を行いました。

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 私の発表は光ファイバFBGセンサを用いた地震計への応用に関する研究です。この研究の目的は、FBG光ファイバセンサは電気の代わりに光を利用し、銅線の代わりに光ファイバを使うことで、電気的なセンシングに伴う課題の多くを解決することができます。これらの特徴は陸域・海域を問わず観測網を構築でき、地球深部など高温領域での観測を可能とすると考えられます。前回は加速度の検出について検討しましたが、今回は前回の実験に基づき地震検出器について検討しました

 私は外国人のため、日本語で伝えたい内容をうまく伝えられるかどうかについて、とても不安でしたが、三田地先生、富田先生と研究室の皆さんのおかげで、順調に発表を終わらせ

ることができました。

 今回の発表を通し、いろいろな優秀な専門家の発表も聞くことができてとても勉強になり、自分の足りないところもわかるようになりました。無事に発表を終えた時には、とても達成感があり、人生にとってもいい経験だと思います。まもなく国に帰るので、今回の学会発表により、私の日本での勉強と生活は円満的に終了しました。

 最後になりましたが、私にこのような貴重な機会を与えてくださった、三田地教授、実験講師の富田先生、また研究室の皆様に深くお礼申し上げます。

石畑研 学部4年生が電子情報通信学会研究会(3月)で発表

石畑研究室4年 内藤君が学会発表しました.

3月5,6の2日間奄美大島で電子情報通信学会のマルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント研究会が開催されました.石畑研究室の内藤君が,「ディープラーニングを用いた楽音認識」のタイトルで発表を行いました.

 皆さんは,ピアノで複数の音が同時になっているときに,どの音が鳴っているか判別できるでしょうか.この研究は,同時に鳴っている複数(3から4)のピアノの音を人工知能に聞かせて,鳴っている音を判断させるものです.これがうまくできるようになると,音楽を聞かせるだけで楽譜が出てくるというようなことができるようになります.

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 内藤君は, 「今回の発表では,音楽を聴いてどの音階が鳴っているかを推定するように人工知能を学習させました.論文の提出までは良い結果が出ず,発表に対する不安が大きかったのですが,提出後の実験で何とか発表できる結果となりました.発表は苦手で,非常に緊張しましたが,先生方から研究の進め方や考え方についてのアドバイスをいただき,視野が広がりました.今回の学会では,奄美大島の魅力について知ることもできた上に,研究発表をすることで自分の成長につながったと思います.」 と,かなり緊張して発表していましたが,聴講していた他の先生から暖かくも厳しい言葉をいただき,内藤君も大変勉強になったようです.

発表の合間に,近くの奄美海洋展示館とハート形の潮溜まりのある海岸へ行きました.海洋展示館には,オフシーズンということもあり,がらがらでしたがウミガメへの餌やりやクジラの骨の見物をしました.名所になっているらしいハート形の潮溜まり(ハートロックと言い最強の恋愛スポットとネットにはありました)には,ずいぶん人が来ていました.

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渡辺研「マイクロウエーブ展:横浜(11月)」で無線システムの最新の動向を調査しました。

2018年1月11日 (木) 投稿者: CSスタッフグループ3

無線システム研究室の渡辺です。11月に横浜で開催された「MWE2017:マイクロウエーブ展」に卒研生らと行って来ました。この展示会は国内では最大のもので、電波を扱ういろんな装置や、この業界の最新の動向を把握することが出来ます。

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第5世代携帯電話のブースでは、使用する電波の周波数が高くなり、インフラ構築が進んでいる状況や、大学授業の「ワイヤレス通信」、「LANとホームネットワーク」等で説明した内容も紹介され、卒研生らは技術が実際に使われている様子を見ることが出来ました。

   

計測器メーカのブースを見て回ると、高周波を測るスペクトラムアナライザやネットワークアナライザ、高速サンプリング可能なオシロスコープ、フィールドで使うモバイルな計測器等の最新版が紹介されています。

   

実際に研究室でレンタルした計測器の新しいタイプも展示されていました。卒研生らは、普段、研究室で使っていることから理解が早く、説明員の方と新しい機能について話し合うことが出来ました。また、この展示会へ参加後に、研究室へデモを実施してもらうこととなり、実際に使ってみて新しい技術を体感することが出来ました。

   

このように、いろいろな業界の方と交流出来るようになれば、すばやく情報を入手できる可能性があり、卒業して企業に入ってからも、自分の仕事の幅を容易に広げることが出来るようになります。

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ブロックチェーンに関する学会発表

2017年9月28日 (木) 投稿者: CSスタッフグループ3

亀田・相田研究室

(思考と言語研室・知的ソフトウェア創成研究室・コグニティブコンピューティング研究室)

電子情報通信学会のソサイエティ大会で、研究発表を行ってきました。

発表題目は「ブロックチェーンを用いたAI 推論信憑性維持・管理システムの提案 − 人工知能活用社会へ向けての提言− 」です。

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この研究の着想は、話せば長い話になるので、聞きたい方はオープンキャンパスなどで亀田・相田研究室を訪問してください。

 

発表の要点は以下の通り。

 これからは人工知能( AI; Artificial Intelligence )の時代だ!

  • IoT技術(モノのインターネット技術)が急速に発達し、ビッグデータの収集が簡単になってきた。
  • さらにビッグデータは、人工知能技術「深層学習( DL; Deep Learning)」と結びつくことにより、人間を凌駕する能力を発揮し始めている。
  • 今ある多くの仕事は人工知能が人に取って代わるとか、その結果、新たな産業革命が起き始めているとまで言われている。
  • でも、人工知能システムって、何でもかんでも信じていいのだろうか?
  • 論理学の知見によれば、演繹推論を使うならば、真なる知識から真なる知識を得ることができることが証明されている。
  • でも、ビッグデータに基づく現在の人工知能の推論は、必ずしも、入力が正しければ出力も正しい、とまでは主張できない。
  • 百歩譲って、人工知能の推論処理が全く問題のないものとしても、入力がどれもすべて正しいとは、一般には保証することはできない。
  • ここが問題だ!と私たちは考えました。
  • つまり、人間を凌駕するほどすごい人工知能であっても、入力データの正しさは別のやり方で確保するしかないと。
  • なるほど、オープンデータのように、行政機関が責任をもって発信してくれているデータも確かにある。
  • しかしながら、人工知能が急速に発達し広く利用されるようになると、人よりも早い速度で人工知能が様々なデータや知識を生成し、世界へ発信するようになることは、想像に難くない。
  • そうであれば、データや知識自体の出所を、何らかの方法で保証すする方法を確立する必要がある。
  • 色々なやり方はあるのでしょうが、私たちの研究室では、ビットコイン(仮想貨幣の1つ)で採用されているブロックチェーンに着目することにしました。
  • そんなことを学会でまずは発表してきました。
  • 現在は、Ethereumというブロックチェーンのプラットフォームを使って、この考えがどの程度有効であるかを調べようとしているところです。

この続きも、オープンキャンパス、あるいは、このCS学部ブログにて適宜発信していきます。

興味のある方、ぜひお声掛けください。

(注)ブロックチェーンとは、仮想貨幣で利用されている技術で、”電子的な分散型台帳”に相当するものです。

   現在では、ブロックチェーン3.0という名称で、smart contract (スマートコントラクト)実現のために

   金融関連の分野で注目を集めています。FinTech(フィンテック)という分野がそれに相当します。

 

サービスシステムをデザインの対象として捉える

2017年5月 9日 (火) 投稿者: CSスタッフグループ3

サービスデザイン&マネジメント研究室の澤谷です。学生と共に第1回Xデザインフォーラム/情報デザインフォーラムでポスター発表してきました。タイトルは「サービスイノベーションと起業家教育」、Yahooの会場いっぱいの参加者と共に、議論をしてきました。

経済のサービス化と共に、イノベーションの対象は 単独製品 →価値共創を含むサービスシステムへ変化しています。また、サービスシステムの要素同士が関連(内部要因)し、問題を分解して扱うことが困難であり、対象とするサービスシステムと外部要因とのバウンダリーが曖昧になり、問題の複雑化が増しています。さらに、情報技術の進展、デジタル化が進み、情報技術が汎用技術として産業間をつなぐ新しいサービスシステムが誕生しています。データは液状化 (liquification, Normann 2001)し、ネットワーク上を満たし、どこかでビジネスが創られています。このような状況では、私たちのデザインの対象として、技術や顧客のニーズのみ捉えていては十分ではありません。以下に示すように、提供者と需要者を繋ぐシステムとして捉え、そのシステムをデザインしていくことが必要となります。

そのほか、そのために必要な教育について議論をしてきました。ご興味のある方は、8月後半のオープンユニバーシティ等でお会いしましょう。

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図. サービスシステム創出のためのデザイン対象

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M1学生のポスター発表

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